2012 Fiscal Year Research-status Report
ジーンズ産業における若年層のキャリア形成と地域間ネットワークの研究
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24730428
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
永田 瞬 福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (70550440)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 繊維産業 / 産業集積 / ジーンズ / 中小企業 / 地域経済 / 三備地区 / 地場産業 / 縫製 |
Research Abstract |
本年度、法政大学大原社会問題研究所の労働政策研究会と連携し、計3回の現地調査を行った。2012年6月7日~8日に山口県内の山口経済研究所、繊維加工協同組合、自社ブランドメーカー1社を訪問し、インタビューやジーンズ縫製工場見学を行った。8月7日~8日には岡山県倉敷市児島の中堅規模以下の自社ブランドメーカー3社、洗い加工業者1社を訪問し、経営者層にインタビューを行った。2013年2月26日には倉敷市児島の中堅自社ブランドメーカー1社、ミシン販売業者、縫製OEM会社2社を訪問し、縫製技術を中心に調査を行った。その結果明らかになったのは次の点である。 1、岡山県・広島県を中心とする三備地区の繊維産業集積地は、グローバル化時代の競争関係の下で、山口県や四国も含む形で広域化している。つまり産地の構造が従来の枠組みから変容している。 2、産地内部に登場する企業の中でも中堅規模以下の自社ブランドメーカーが産地に果たす役割が大きい。縫製専門業者や洗い加工業者との仕事の受発注を実質的に担い、自社ブランドへと結実させるという点で、産地のオルガナイザー機能を果たしている。 以上の2つの中身は、繊維産業集積地が縮小する中で、三備地区が健闘している理由の1つであると考えられる。この点は先行研究で十分に明確化されなかった点であり、本年度に明確化された成果の1つである。なお、研究成果の一部は、地域活性学会(2012年7月28日、高知工科大学)、社会政策学会(2012年10月14日、長野大学)の全国学会で発表した。また、『福岡県立大学人間社会学部紀要』、『大原社会問題研究所雑誌』などの大学紀要・専門ジャーナルに研究成果を発表した。さらに、新聞取材への協力を行い「ジーンズの山口 奮闘」『読売新聞』(九州・沖縄版)2013年2月27日に、研究代表者のコメントが掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究はおおむね順調に進展している。1、訪問先が岡山県倉敷市、山口県山口市など、倉敷市のみならず山口県も含めた産地を広域的に把握できた。2、学校や専門学校調査へのインタビュー調査は時間の制約もあり十分に行うことができなかった。3、自社ブランドメーカー、下請専門業者で働く若年層へのインタビューは進めることができた。 上記のうち2点目である学校・専門学校調査が課題としてあげられる。しかし、全体として調査は順調に進み、研究成果も学会発表や雑誌論文を通じて着実に公表することができた。そのため研究は順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度は次の3点を重視して研究を進める。 1、三備地区の産地内部の社会的分業構造をより立体的に把握するため、特殊縫製加工業者や下請専門縫製工などへのインタビューを追加で行う。また、産地の「二重構造」を把握するため、下請専門業者や自社ブランドメーカーで働く労働者にインタビューを行い、彼ら・彼女らの労働条件の実態も検討したい。 2、法政大学大原社会問題研究所の労働政策研究会と定期的な意見交換及び研究会を開催し、本研究についての助言・アドバイスを受ける。 3、これまでの調査から明らかになった通り、三備地区の優位性と課題を明らかにするためには他産地との比較が必要である。そのため、三備地区以外の繊維地場産業集積地の調査を行う。具体的には北関東地方の桐生織物産地や北陸地方の産地を想定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(6 results)