2012 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災及び福島第一原発事故に関する英字メディアの通時的な文脈の比較研究
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24730434
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
酒井 信 文教大学, 情報学部, 講師 (90439232)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | メディア研究 / マス・コミュニケーション研究 / 比較文化 / 社会思想 |
Research Abstract |
本研究の目的は2011年3月11日に発生した東日本大震災とその後の福島第一原発事故について、世界各国のメディアや国際機関、国際NGOが公表しているウェブ上の英字ニュース・テキストの情報を、「①類似した文脈」「②見解の異なる文脈」「③主張のゆらぎ」「④日本の復旧・復興への提言」の四点に着目して文脈を整理し、分析することにある。平成24年の研究成果としては、以下の通り、論壇誌に掲載した論文1本、国際学会発表1本がある。論文については、2012年末に民主党から自民党へ政権交代した直後に、安倍新政権の原子力政策に関する主要な海外メディア報道(約1ヶ月分)を上記の4つの文脈から比較分析した「海外メディアはどう見ているか(特集・安倍新政権『海図なき航海』)」(新潮社、「新潮45」 2013年1月、pp50-55)がある。 学会発表については、2012年12月の時点で震災と原発事故に関するニュース情報を時空間毎に整理し、国際社会における日本の風評被害の実態を明らかにした成果を、タイのNational Institute of Development Administrationにあるthe Graduate School of Language and Communicationが主催した国際学会The 4th International Conference on Language and Communication (ICLC)で、「A comparative news-text analysis of the international English media coverage of the aftermath of the Fukushima Daiichi nuclear power plant disaster」(査読有り)という発表にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的を達成するためには、海外の主要なメディアが配信する東日本大震災とその後の福島第一原発事故についての情報の整理と分析の作業(メディア研究)が不可欠である。上述の通り、この作業の成果は、一定の期間を区切ったものとはいえ、安倍新政権の原子力政策に関する主要な海外メディア報道として、「新潮45」という論壇誌に発表することができており、この点からも研究はおおむね順調に進展していると判断できる。震災と原発事故に関するニュース情報を時空間毎に整理し、国際社会における日本の風評被害の実態を明らかにするという点については、現段階の半分の研究期間ではまだ十分なものとは言えないが、上述の通り、タイの国際学会で「A comparative news-text analysis of the international English media coverage of the aftermath of the Fukushima Daiichi nuclear power plant disaster」(査読有り)を発表できたことからも、この内容を残りの1年で発展させていくことには無理はなく、この点からも研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度においては、当初の計画通り、前年度に参加したタイでの国際学会において、他国の研究者(平成24年度においては米国、英国、東南アジアの研究者が主)に指摘された論点や問題点を整理しながら、二次的な議論の文脈の整理と分析作業を行っていく。また当初の想定通り、平成25年度においては、日本の震災・原発事故に関する海外のメディア、国際機関、国際NGOの情報発信量は、過去二年に比べて減少しており、2年間の研究成果をまとめていく時間は十分に確保できると考えられる。このため平成25年度においては、当初の計画通り、震災・原発事故から2年の時間が経過したことを踏まえ、震災・原発事故から1年以内の報道と1年~2年の間の報道と、2年~3年の間の報道内容の差異について、「①類似した文脈」「②見解の異なる文脈」「③主張のブレ」「④日本の復旧・復興への提言」の四点に着目しながら比較分析を行い、本研究のまとめとする。このような研究の推進方策を基にして本研究は、日本の震災と原発事故に関するメディア研究として、国際社会における日本の風評被害の実態を明らかにすることを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一般にウェブ上のニュース情報は二週間程度で消去される傾向があるが、重要度の高いテキスト情報については印刷してファイリングしておけば、通時的な分析に利用することができる。このため本研究では自己所有のプリンターを使う前提で、プリンターインク代金(ブラザーMFC-9120cnトナー)ブラック3本セット×2、カラー3本セット×2の代金として72000円を使用する。また平成24年度と同様に平成25年度も、メディア研究に関連する国際学会に参加し、他国の研究者にコメントを求め、指摘された論点や問題点を整理しながら、二次的な議論の文脈の整理と分析作業を行っていく。このため残りの研究費は国際学会への参加及び他国の研究者から意見聴取するための旅費にあてる。現状では参加する学会は未定であるが、既に候補は幾つか立てており、研究費を超過する分については、自費でまかなう。
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