2012 Fiscal Year Research-status Report
看護職のワーク・ライフ・バランスの確保に向けた組織文化の構築に関する実証的研究
Project/Area Number |
24730439
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小谷 幸 日本大学, 生産工学部, 准教授 (30453872)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ワーク・ライフ・バランス / 看護職 / 柔軟な勤務体系 / 短時間正職員制度 |
Research Abstract |
(1)本研究の目的は、超高齢社会を迎え一層重要性を増す看護職の確保ならびに定着に向けて、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の確保に向けた組織文化の構築とそのメカニズムを、特に柔軟な勤務体系の導入という人事管理上の変更をめぐる組織主体間の相互行為への着目を通じて明らかにすることである。 (2)この目的を達成するため、①R.コンネルの「差異への注目から関係への注目へと転換を図る」関係論的ジェンダー視点と、②Gamblesらによるライフ(生活)の中にペイドワーク(仕事)を位置づける視点を分析視角として組み立て、看護職場を対象としたインテンシブなインタビューに基づく組織の質的分析を実施する。 (3)当該年度の研究計画は、1.文献研究および理論的枠組みの構築、2. 予備的調査:質的データの収集・分析であった。当該年度のうち、2012年5月より2013年1月の8ヶ月間にわたり産前・産後休暇および育児休業を取得したため、当初の研究計画を縮小し、1.文献研究および理論的枠組みの構築のみを実施した。 (4)具体的には、本研究の理論的枠組みの基軸をなすと考えられる二つの分野、すなわち①関係論的ジェンダー視点に関するジェンダー論の文献、②ワークライフバランスに関する社会学、及び経営学(人的資源管理論)の文献、および組織論、専門職論、家族論等の分野に関し、引き続き文献検討を深めることにより、枠組みの精緻化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度のうち、2012年5月より2013年1月の8ヶ月間、産前・産後休暇および育児休業を取得したため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)前年度に産前・産後休暇ならびに育児休業を取得したため研究の進捗に遅れが生じた。したがって、今年度は前年度の研究計画である予備的調査:質的データの収集・分析を遂行するとともに、今年度実施予定であった研究計画を進める。 (2)予備的調査として、柔軟な勤務体系を導入した施設を文献より把握し、地域と属性に配慮し10施設程度を対象とし、医師(病院管理者)・看護管理者・看護師長・一般看護師に対するインタビュー調査を実施する。内容は、柔軟な勤務体系を導入するに至った経緯、具体的なプロセスと成果、短時間労働者の処遇、職務分担、能力開発および今後の課題等についてである。特に一般労働者と短時間労働者、正規職員と非正規職員相互間の職務分担、処遇の差異、看護職間の「均等」「均衡」の認識、他職種との関係、組織文化について把握に努める。収集されたデータは逐語録を作成し、分析の信頼性、妥当性を確保するため質的データソフトウエアを使用し分析する。 (3)さらに当初実施予定であった今年度の研究計画を以下(4)~(5)の通り、実施する。 (4)事例研究。対象施設をその共通性、相違性に配慮して類型化した上で、各類型から施設を選定(計2~3施設)し、半年程度を投じて、インテンシブな事例研究を実施する。調査実施の枠組みは前年度を踏襲するが、より組織文化の解明に向けた調査を実施する。 (5)調査結果に基づく国内学会発表および論文投稿。前年度の研究活動で得られた成果をまとめ、労働関連の学会(日本社会学会、社会政策学会、日本労働社会学会等)、および看護管理関連の学会(日本看護管理学会、病院管理学会等)において発表し意見交換を行う。また、以上を受けた成果を論文にまとめ、国内学会誌に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)文献検討にかかわる物品費として使用する。 (2)予備的調査ならびに事例研究にかかわる物品費・旅費・謝金(専門的知識の提供)として使用する。
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