2013 Fiscal Year Research-status Report
「近代の毒/優しい自然」の言説と代替療法 受容促進要因としての「規範」の分析
Project/Area Number |
24730444
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
平野 直子 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (10608433)
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Keywords | 代替療法 / 消費社会 / 対抗文化 / ライフスタイル / 文化 / 医療 / 身体 / 宗教 |
Research Abstract |
平成25年度は引き続きレイキ・ヒーリングを中心に、代替療法実践者11名への聞き取りを行った。また、実践者団体への参与観察も、引き続き行った。 今年度の聞き取り対象者は、実践者団体の指導者層ではない一般の参加者がほとんどであり、彼らがどのように自らの代替療法実践を個人史や人的ネットワークの中に位置づけているのかを、聞き取ることができた。 この調査により、代替療法実践の広がりに強い影響を与えているのは(研究開始時に予想されていた)メディアの情報ではなく、「口こみ」、つまりフェイストゥフェイスの関係性であることが示された。これは昨年度の指導者層に対する聞き取りからも示唆されていたことであったが、さらなる裏付けを得た形となった。 一方、「癒しフェア」等のイベントにおける資料収集や観察においては、当初の仮説通り、代替療法が「対抗文化的ライフスタイル」とも言うべき傾向およびそれに関する市場――反原発運動から自然育児、自然食、発展途上国支援まで、幅広く「善いもの」を提供し消費する市場――のなかに、緩やかに組み込まれていることも観察された。このことと、実践者個々人の意識や実践という異なるレベルの観察をどのように結びつけるかが、平成26年度の課題となる。 その手掛かりとして、平成26年2月にインターネットによる量的調査を行う予定であったが、分担研究者となっている研究課題(基盤研究(C)24520075「近現代日本の民間精神療法に関する宗教史的考究 身体と社会の観点から」)における、戦前民間精神療法の研究が大幅に進展したために、平成26年度に持ち越された。計画の遅れはあるものの、社会史的研究で示された日本における近代医療制度成立期における医療「界」成立と身体文化や宗教との関係は、本研究課題にも極めて重要な知見をもたらすもので、今後も両課題の成果を有機的に連携させていくことを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」に記した別の研究課題の大幅な進展、および研究代表者の複数の私的事情(結婚とそれに伴う転居等)により、研究計画に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、これまでのレイキ実践者に対するの聞き取りの結果を整理しつつ、研究代表者の新しい生活拠点となった長野県上田市周辺で活発に行われているマクロビオティックなどの自然食・食事法実践者を中心に、聞き取りと観察を継続する要諦である。 また9月には、インターネットを用いた代替療法実践に関する量的調査を行う。 今年度の後半においては、聞き取り調査、参与観察、量的調査の3つの知見を統合し、最終報告書の作成を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大きな進展があった別の研究課題にリソースを割かれたこと等により、当初平成26年2月に予定されていた量的調査の実施が遅れ、平成26年度に持ち越された。このため、予定されていた調査会社への支払いが今年度中に行われなかった。 また、遠隔地における調査および必要となる謝金も予想より大幅に少なかった。 平成26年度に持ち越された約56万円は全額、9月ごろに予定されている量的調査を委託する調査会社への支払いにあてられる。
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Research Products
(4 results)