2014 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化時代における大都市および国土の開発政策と空間再編の研究
Project/Area Number |
24730453
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
上野 淳子 桃山学院大学, 社会学部, 准教授 (30582788)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 都市社会学 / 空間構造 / 地域格差 / 人口移動 / 都心回帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は、昨年度に実施した東京の都心マンション住民に対する質問紙調査のデータ分析および東京都心の自治体職員や住民に対する聞き取り調査を中心に研究を進め、名古屋や札幌等の他都市との比較を行った。 (1)東京における都心回帰の背景と影響:1990年代後半以降に東京圏および東京23区が経験した転入超過は、高度経済成長期とは異なり、都市圏外からの若い就業者の流入によってではなく都市内の就業者の転出抑制によって引き起こされている。結果として、近年の東京都心部は、チャンスを求めて流入した若者の一時的な受け皿というより、大都市で働く人々の定住の場としての役割を増すようになった。また、新たな都心住民は旧住民に比べて社会階層が際立って高く、固有の社会意識とネットワークをもっており、既存の地域社会や商業環境、都市政治を変えていく可能性が示された。 (2)都市間比較:1990年代後半以降、名古屋などの他都市では高階層の住民が増える一方で、若年単身層の流入は依然として続き、都心回帰により住民層が様変わりしている東京に対して変化が緩やかである。住宅供給の点では、東京における公共住宅の供給量は他都市より多いものの、近年の公共住宅政策の転換と規制緩和にともなう民間マンションの激増のなかで公共住宅の存在感は低下しており、都心が高階層しか住めない空間となることが懸念される。 以上の研究成果について、一部を地域社会学会第39回大会および論文をつうじて発表した。
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Research Products
(2 results)