2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730458
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Research Institution | 宮崎学園短期大学 |
Principal Investigator |
桑畑 洋一郎 宮崎学園短期大学, その他部局等, 講師 (50532686)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | HTLV-1 / 社会学 / 医療社会学 |
Research Abstract |
HTLV-1感染症の当事者(キャリア、発症者、家族)に対するインタビュー調査をのべ38人に対して実施し、研究を進めた。 結果として、助成申請時に想定していた2つの研究トピック――すなわち、「HTLV-1感染者はどのような社会的意味を付与されどのような生を送っているのか」「HTLV-1感染症対策の現状と、それへの評価」――の特に前者について、当事者の語りを元に考察を進めることができた。その成果として、まだ予備的な論文であるとはいえ、「HTLV-1感染症に関する予備的考察」(『宮崎学園短期大学紀要』第5号pp.53-66)を執筆することができた。 これまで、当事者の手による個人的体験に関する手記や、医学的な研究は蓄積されてきたものの、社会学的な立場からのHTLV-1感染症に関する研究がなかった状況に鑑みると、この予備的論文によって今後の研究の地平が築かれたのではないかと考えている。この点において、医療社会学的な意義に加えて、HTLV-1研究全般における意義、さらには当事者の実態を広く社会に伝えるという社会的な意義もある成果を上げることができたといえる。 なお、上記した2つの研究トピックの内後者――すなわち、「HTLV-1感染症対策の現状と、それへの評価」――については、率直なところ今年度はほとんど進めることができなかった。しかし、インタビューを重ねる内に行政の関係者とも知遇を得ることができたため、次年度以降それを足がかりにして研究を進めていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先に述べたとおり、助成申請時に想定していた2つの研究トピック――「HTLV-1感染者はどのような社会的意味を付与されどのような生を送っているのか」「HTLV-1感染症対策の現状と、それへの評価」――の特に前者については調査も研究成果の公表もそれなりに順調に進んでいる。また、更なる当事者へのインタビュー依頼も現在進めており、今後も順調に進展することが想定される。 一方、後者のトピックについては、やはり先に述べたとおり、あまり研究を進めることはできなかった。とは言え、行政の関係者と知り合うこともできたため、ここから研究が進展していくことが想定される。 以上より、申請時に想定していた2つのトピックがともにバランスよく同程度に進行しているわけではないものの、それぞれの総合としては、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、HTLV-1感染症の当事者へのインタビュー調査をさらに重ねるとともに、知り合うことができた行政関係者への調査も進めていく。 またその中で、研究成果を学会報告・論文執筆の形で公にしていきたいと考えている。これについては、手続きにかかる時間を考慮すると平成25年度以降にずれ込むこともありうるだろうが、査読付き学術誌への投稿論文として成果を出したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は平成24年度以上に調査旅費が研究費の多くを占めることとなると考えている。それは、「推進方策」の部分で記述したとおり、当事者・行政関係者への調査をさらに重ねることを計画しているからである。 また、これもやはり上述したように、学会報告も平成24年度以上に多く行って生きたいと考えているため、これについても旅費支出が多くなることが想定される。 そのため、申請時とは図書経費と調査・学会報告用旅費とのバランスが若干変更されることもありうるが、研究遂行に必要かつ妥当な範囲内で研究費を使用していく。
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