2012 Fiscal Year Research-status Report
賀川豊彦と同労者の社会事業にみる地域協働モデルの検討
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24730460
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊丹 謙太郎 千葉大学, 人文社会科学研究科(系), 特別研究員 (30513098)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 社会福祉思想 / 社会福祉史 / 社会事業史 / 賀川豊彦 / 協同組合 |
Research Abstract |
本研究は、関東大震災後の賀川豊彦と同労者の実践の経験を通して、現代におけるコミュニティ開発や社会事業・協同組合運動の展開の可能性について検討することを目的としている。 2012年度は、賀川と同労者の活動を社会事業史の中に位置づける(7月)、協同組合運動史の中に位置づける(9月)、社会保障制度史と比較分析を行う2013年1月)形でそれぞれ学会報告を行い、当該分野の研究者等から調査を進める上での示唆を賜った。また、東京本所における賀川豊彦の同労者たちの実践と賀川の理論的視座との相違点を中心に両者を比較検討をテーマにした論考、賀川豊彦の作品研究として、特に賀川が共同体(コミュニティ)についてどのような見解を有していたのかをテーマにした論考、賀川豊彦の中国における活動を中心に研究している浜田直也氏の著書に対するレビュー論考などを本研究の中間成果として執筆した。史資料調査では、『雲の柱』『火の柱』など戦前からの賀川ミッションの機関紙類を精査する中で、これらが同労者間の事業展開における情報共有のツールとして用いられていた点を再認識した。こうした賀川豊彦関連史料叢書の入手や本所賀川記念館(墨田区)所蔵史料の整理・解読を通じて当時の活動状況を史料でフォローしながら、本所を中心に関西圏も含む同労者、さらに香川県豊島に存在した農民福音学校の取組などについて知悉する関係者(親族等)に対してインタビューを行い、賀川と同労者のコミュニティ形成における視座の整理を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画における「2012年度の予備調査から2013年度の本調査へ」という賀川豊彦同労者の関係者を対象にしたインタヴュー調査については、賀川グループの機関紙類の整理を通じた実証を先んじて行うことでインタヴュー項目をより精密にする形に変更する。2012年度後半期に本所賀川記念館(墨田区)の許可を得たことで、同館所蔵の一次資料の整理・閲覧を通じて史資料による再現性が高いと思われるものとインタヴュー等によらなければならないものとを選別する必要がでてきたことによる研究計画の部分的変更であり、当初計画では予定していなかった史資料を閲覧する機会を得たことで、東京本所地区における賀川同労者の実践・事業内容について、より高い再現性をもって研究を進められる環境が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は2012-2014年度の3ヵ年の課題となっており、最終年度後半は最終成果の公開・報告に軸足を置くことを予定している。初年度後半期から第一次資料の整理・分析が中心となっており、2013年度前半期はこの研究引き続き推進するとともに、後半期は(海外は予定していないが)国内各地の同労者関係者を対象としたインタヴュー調査を行う。2014年度前半期は、これらの記録を整理・分析する作業を行う。以上のような工程で3ヵ年の研究課題を推進していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度研究費は、史資料の収集を中心とした研究費の使用となった。研究全体として、史資料の整理・分析も中軸のひとつであるが、活字・手書き資料等の形で記録として残存していないオーラルヒストリー収集のための調査旅行も附して行うため、2年度目に調査旅費のウェイトを高めるという申請当初の計画に沿って旅費を中心にした研究費執行を予定している。なお、2012年度の調査によって当初これまで想定されていなかった未公開一次資料の分析に着手できる環境が整ったこともあり、これらの資料の電子化に要する機材購入等にも研究費を使用する。
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Research Products
(7 results)