2014 Fiscal Year Research-status Report
賀川豊彦と同労者の社会事業にみる地域協働モデルの検討
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24730460
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊丹 謙太郎 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (30513098)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セツルメント / 協同組合 / 新しい公共 / パートナーシップ / 社会的企業 / 関東大震災 / 医療事業史 / 社会事業史 |
Outline of Annual Research Achievements |
【前年度よりの継続】関東大震災後の賀川豊彦同労者たちの活動の足跡について、震災直後に発足した総合的セツルメントである本所基督教産業青年会の庶務日誌の検討を行った。同組織の後継団体となる東駒形教会の許可を得て、非公開資料である原本の整理・電子化作業を進めているが、彼らが活動の継続・展開のために、内務省や東京市、済生会など官民問わず頻繁に事業助成(御下賜金・奨励金・助成金)の申請を行っていることから、具体的な短・中期における産業青年会の事業計画などが明らかになってきた。また、社会事業団体として毎年報告書を作成していることで詳細な編年データなどを揃えられることが可能となった。本所の同労者たちの活動は、賀川ミッションのなかでもとりわけ協同組合事業・運動への展開がその特徴となっている。 【現代的意義の検討】また、現代の社会運動を対比させる研究も行った。そこでは、現代の協同組合運動の源流のひとつとなる彼らの活動が単なる組合員の互助的な利益にはとどまらない、社会貢献を軸にしたものであり、社会事業と協同組合運動が両輪となって彼らの活動を前進させてきたことを指摘した。近代日本の協同組合運動史として、1920・30年代を含む7つの時期区分を行い、現代における「新しい公共」の議論と賀川たちの活動の親和性について検討している。 【新機軸の導入】また、24年度夏より賀川同労者集団の比較という視点から都市部以外の事業体として1920・30年代における浜松の聖隷社(現在の聖隷福祉事業団)の事業を主要人物たちの思想について研究を開始し、「地域協働」のあり方の多様性によりいっそう迫るものへと研究を進展させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の3年間の研究計画は、結果として1年伸びる形となった。2年度目に新資料の発掘・整理という計画が加わり、また3年度目には対象地域の追加による比較軸の多様化という分析上の進展があった。これらを原因とする計画の変更は、全体として成果を大きく進展させることに結びつくと考えているが、当初研究計画に対して遅れがちの進捗となってきている。
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Strategy for Future Research Activity |
新資料の整理については、まだ作業完了には至っていないが、3年度目に追加した対象地域については現地調査を当該年度に複数回行ったことで史資料の整理なども着実に進んでいる。すでに、これらについては中間成果として論文刊行・研究報告などを行っているので、夏までにこの2点に目処をつけ、秋からは最終的な研究成果となる論文の執筆に注力、完成させることを予定している。
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Causes of Carryover |
2年度・3年度目に研究計画において変更が生じ、関連資料の収集・分析等のために翌年度への繰越を行うこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、延長期間として遅滞していた調査等を随時遂行するかたちで、年度内に適切な使用を進める。繰越分については、延期となっていたインタヴューに要する旅費、報告をまとめるための物品費・謝金等で使用する。
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Remarks |
(1)は、記念館附属総合研究所の兼任研究員としての活動も含むサイトとなっている。
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Research Products
(10 results)