2013 Fiscal Year Research-status Report
地域包括ケアシステムにおける人材評価シートの開発に関する研究
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24730467
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
東野 定律 静岡県立大学, 経営情報学部, 講師 (60419009)
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Keywords | 地域包括ケア / 介護保険 / 人材評価 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「地域包括ケアシステムを担う福祉・介護人材の技術・連携活動能力の評価チェックリスト」を開発し、これを用いた調査を行うことによって、地域包括ケアシステムにおいて、対人援助サービスを提供する人材に求められる能力等を検討するための基礎資料を提供することにある。 具体的な「地域包括ケアシステムにおける人材評価シート」項目の選定方法については、これまでの既存の調査票やデータ分析によって設定された基礎項目から調査項目の選定を行った。平成24年度では、項目案として、「1.地域内の社会資源との情報共有」、「2.地域内の社会資源との業務協力」、「3.地域内の関係職種との交流」「4.地域包括ケアの管理業務」の4つの分野から構成される15項目の具体的な内容が挙げられ、今後これらの項目を用いた評価尺度の開発を行うこととした。 平成25年度は、昨年度検討を行った「地域包括ケアシステムにおける対人援助を担う人材の技能ならびに連携活動能力等の評価のためのチェックリスト」の評価項目を用いて、各介護福祉施設に調査を実施し、また、すでに開発されている連携活動評価尺度を用いた調査の結果との関連性を分析することから、評価項目自体が地域包括ケアシステムを推進するために必要である内容を反映しているかどうか、地域包括ケアシステムを担う人材を評価する評価項目としてふさわしいものであるか検討を行ってきた。 同時に、地域包括ケアの中心的な役割を担う地域包括支援センターの地域におけるマネジメントの状況および運営上の問題点について、静岡県の地域包括ケアシステムを構築し推進しようとしている地域包括支援センターの担当者および県担当者などの意見を収集し、地域包括ケアシステムを運営する人材に必要な内容の検討を行った。 平成26年度の研究実施計画としては、評価項目の妥当性を検証し、最終的な評価シートの開発を行うこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度検討を行った「地域包括ケアシステムにおける対人援助を担う人材の技能ならびに連携活動能力等の評価のためのチェックリスト」の評価項目を用いて、各介護福祉施設に行った調査結果の分析を平成25年度において実施した。 具体的には、前年度に項目案として作成した15項目に加え、施設や介護職員の属性およびリーダーシップに関する項目などを加えた項目の実態を把握し、職員の属性との関連や他機関の連携状況などの関連について分析を行った。 これらの内容を詳細に分析することから、実施率の低い項目などが明らかになり、より高いエビデンスによって裏付けられた項目をベースとした、福祉・介護の技能や連携活動能力を評価するための項目内容が得られたと考えられ、これに関しては、おおむね予定通りの成果を得ている。 引き続き調査方法、項目の内容などの妥当性を検証するため、引き続き施設・在宅介護に従事する介護職員に関して、勤続年数、職種等の属性と技術・地域連携能力の関係、介護技術の関係性に関して、分析を行っていく予定である。 また、これらの結果を踏まえ、学識経験者、臨床現場の医療・保健・福祉・介護職員等の意見を収集し、地域包括ケアシステムを運営するために必要な人的課題などの分析を継続的に行っている。 さらに、静岡県の地域包括ケアシステムを構築し推進しようとしている地域包括支援センターの担当者および県担当者などの意見を収集した結果、地域包括ケアを推進するためには、その地域で発生している問題に関しての課題解決能力が構成員に必要であることと、その解決に関するプロセスが明確であるという前提があることが分かりこれらの内容を評価することができるように、引き続き地域包括ケアシステムを運営するために必要な人的課題などを分析していく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究実施計画は、「地域包括ケアシステムにおける対人援助を担う人材の技能ならびに連携活動能力等の評価のためのチェックリスト」の妥当性を検証することである。現状の分析案としては、評価者の属性と評価結果との関連性を分析し、介護職員間の評価結果のばらつきや、偏りの程度を確認し、評価についての妥当性の検証を行う。 さらに、各施設のすべての職員の人材評価シートのデータは、すべて「できる」技能について、その技能の程度で評価できるものであるが、この技能の程度が示された結果と同時にケアを提供されたすべての高齢者の状態データを収集した。そこで、これらの技術評価の結果と地域包括ケアシステムに関わる項目との関連性を分析することから、実際に提供される技術能力からみた人材評価項目の妥当性についての検証を行う予定している。 地域包括ケアシステムを運営するためのマネジメントマネジメント能力については、「1.現場で適切な技術指導ができる」、「2.ローテーション(シフト)を組むことができる」「3. 部下の業務支援を適切に行っている」「4. 評価者として適切に評価できる」といった職員のリーダーシップやマネジメント能力との関連性についてさらに分析を行う また、引き続き、静岡県の地域包括ケアシステムを構築し推進しようとしている地域包括支援センターの担当者および県担当者などの意見を収集し、この評価項目の妥当性に関して分析していく予定である。 「地域包括ケアシステムにおける人材評価シート」に関する具体的な調査方法に関しては、原案の作成はほぼ完成しているが、チェックリストの現場での利便性について検証することを予定している。 こうした統計的・質的な分析を基にし、入所施設・および訪問・在宅系介護事業者における対人援助サービス提供人材が有するべき地域連携の内容について検討し、最終的な評価項目を決定する予定である。
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Research Products
(2 results)