2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730470
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Research Institution | Uekusa Gakuen University |
Principal Investigator |
川口 由起子 植草学園大学, 発達教育学部, 講師 (90531624)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 依存症 / アディクション / ギャンブル依存 / 病的賭博 |
Research Abstract |
研究計画の1年目である当該年度は、先行研究の整理と分析、関連資料の翻訳、日本語の質問紙の作成、ギャンブル依存症者の参加者に対する初回の質問紙調査(一部)までを行った。 まず、英語の既存の尺度である、イェール・ブラウン強迫性障害尺度の病的賭博への適用尺度(PG-YBOCS)、ギャンブル徴候査定尺度(G-SAS)、サウス・オークス・ギャンブリング・スクリーン(SOGS)等を翻訳し、共通する項目を抜き出したものを中心にして、日本語版の調査質問紙(30項目)を作成した。質問紙の倫理性については、研究代表者の所属先の研究委員会にて承認を得た。PG-YBOCSはギャンブル依存症の重症度をはかるためのものであり、イェール・ブラウン強迫性障害尺度(YBOCS)の各項目を、ギャンブル依存症に特有の心理的傾向をあらわす内容に適用し改変したものである。これによって得られた質問調査紙を用いて、ギャンブル依存症者を対象とする調査を開始した。対象者は、奈良県にある民間の回復支援施設、セレニティー・パーク・ジャパンの入所を検討している依存症者に協力を依頼した。参加者への協力依頼には、研究協力者として、セレニティー・パーク・ジャパンの東京相談窓口の職員である田中紀子氏の助力を得た。また、参加者の協力を得るさいに留意すべき医学的な点については、横浜市こころの健康相談センターの精神科医であり、ギャンブル依存症について専門的知見を持つ佐藤拓氏から、必要に応じて助言を得た。参加を承諾してくださった依存症を持つ対象者には、二回目の追跡調査への協力を同時に依頼し、初回調査から3ヶ月以上経過した対象者については、追跡調査となる質問紙に回答していただいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね予定していた通りの手順で進んでいる。ただし、対象者となる協力を承諾してくれる依存症者(あるいはその疑いのある人)の数が、当初の予想より少なく、一回目の質問紙調査の数が目標である100にまだ到達していない。また、対象者には、二回目の質問紙調査紙を郵送してもらうことにしているが、その返送、回答率が8割に到達せず、予想より少ない。これらの点については次年度に達成できるよう、計画を見直し、実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
対象者を実施群と対照群とに分割する。本研究への参加を了承したうえ、さらに、回復プログラムへの参加も了承する参加者を実施群とする。対照群の参加者には、この研究に参加する期間が終了し次第、希望があればいつでも回復プログラムに参加できるということを十分に周知する。実施群と対照群との比較の妥当性を確保するために、実施群の参加者それぞれについて、一回目の質問紙調査の回答が類似している参加者(たとえば、年齢、性別、年収等が同じか近い人)を対照群のなかから選び、それらをペアとして比較分析を行う。同時に、本研究が調査対象とする回復プログラムの実施記録を取り、その内容について、国内外で実施されている依存症プログラムおよびその先行研究との比較検討を行う。回復プログラムの実施記録については、ギャンブル依存症の民間施設セレニティー・パーク・ジャパンの代表理事に協力を依頼する。 参加者に対して、一回目で実施した後のギャンブル依存の状態(最近ギャンブルをしているか)および心理的状態(ギャンブルをしたい衝動があるか)等について、追跡調査を行う。追跡調査には、一回目と同様の質問調査紙を用意し、参加者に郵送し、回答を依頼する。集まった質問調査紙は、匿名化し、項目ごとに集計しておく。得られる結果について、統計解析ソフトウェアを利用し、実施群と対照群との差を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度と同様、質問紙調査、追跡調査、文献調査が中心となる。本研究に必要な経費は、おもに、(1)旅費、(2)質問調査紙の郵送代、(3)書籍購入費、(4)統計解析用ソフトウェアおよびパソコン関連消耗品である。(1)は、研究対象となる依存症者施設窓口等で関連データを収集するため、および、学会組織を通じて研究成果を社会に還元するために必要とされる旅費である。(2)は、本研究の参加者に対する調査として不可欠である。(3)は、本研究で扱う依存症の回復プログラムと先行研究との比較検討に必要である。(4)は、本研究で得られるデータの分析に必要である。
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Research Products
(2 results)