2013 Fiscal Year Annual Research Report
特例子会社制度の活用による障害者雇用拡大のための方策;合理的配慮に焦点を当てて
Project/Area Number |
24730473
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山田 雅穂 中央大学, 総合政策学部, 助教 (30548160)
|
Keywords | 特例子会社 / 障害者雇用 / 合理的配慮 / 障害者権利条約 / 障害者雇用率制度 / 経営倫理 / CSR(企業の社会的責任) / ダイバーシティ |
Research Abstract |
本研究の目的は、雇用の質を確保する合理的配慮を焦点に、障害者雇用のノウハウを蓄積してきた特例子会社の活用による雇用拡大のための方策を提言することである。前年度は、これまで実施されていない特例子会社と親会社の両社への調査を初めて行った。最終年度では本調査結果を分析し、最終的に求められる方策を提言した。調査の回答率は特例子会社33.2%(116社)、親会社8.6%(30社)である。親会社の回答率がかなり低いが、子会社と親会社の両方への調査は本研究が初めてであるため、貴重な先行研究になると考える。 本調査を分析した結果は次の通りである。まず、子会社が親会社から支援を得ながら連携し、経営を安定させて障害への配慮を実現している点では、本制度は有効に機能しているといえる。しかし、第1に現状維持のまま子会社のみで障害者雇用を進めようとする姿勢が多くの子会社と親会社に窺えること、第2に障害者雇用の専門的ノウハウのある子会社の親会社が、自身が雇用する障害者への配慮は不十分だと自覚している点、第3に子会社を活用しようと考えている親会社も子会社も非常に少ないことから、本制度を活かしきれていない企業が多いといえる。この現状では本制度が法定雇用率達成のためだけに利用される可能性を否定できず、通常の企業での障害者雇用の発展も望めない。よって今後必要な方策は、特例子会社を自社全体での障害者雇用の拠点とし、障害への配慮を含めた専門知識・経験・ノウハウと人材を親会社及び関係会社でも活用することである。本調査結果を補うため、子会社と親会社の両社に回答いただいた10社のうち、親会社と連携して事業を行っている子会社2社にインタビュー調査を行った。これらの研究成果は、既に日本経営倫理学会の査読審査を通り、2014年6月開催の同学会第22回研究発表大会での発表が確定している。その後、論文として同学会誌に投稿する。
|