2017 Fiscal Year Research-status Report
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24730487
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
加藤 佳代 (鈴木佳代) 愛知学院大学, 総合政策学部, 講師 (90624346)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ライフコース / 健康 / 高齢者 / ソーシャル・キャピタル / 社会参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢者のライフヒストリーをインタビュー調査によって聞き取り、ライフコース的視点から高齢期の健康の維持生成プロセスを明らかにしようとするものである。 本研究の特色は、10万人規模の量的データ(JAGESデータ:日本老年学的評価研究)の二次分析によって得られた知見について、本研究費を用いて実施した質的データから検討する「混合研究法」を用いた分析を行うところにある。質的データについては平成26年度までに20名の高齢者を対象とするインタビュー調査が完了している。 健康寿命の延伸や高齢者の健康維持生成に関する研究には医学生理学的なアプローチによるものが多いが、本プロジェクトでは高齢期の健康をライフコースの中に位置づけ、社会的なアプローチから社会参加と高齢期の健康の関連を明らかにしようとする。そのため、「高齢期の健康の維持生成の一員としての社会参加」について、高齢期の社会参加に至る経路を様々な視点から明らかにするという分析目標をたて、具体的な検証仮説5点(女性の就労経験が高齢期の社会参加に及ぼす影響、地域における居住年数と高齢期の社会参加の関連、高齢期の新たな交友関係と社会参加の関連、壮年期の仕事が高齢期の社会参加に及ぼす影響、15歳時の社会経済的状況が高齢期の社会参加に及ぼす影響)を設定して、論文化に向けた分析・論点整理や学会発表を行ってきた。 平成29年度は全期間にわたり育児休業中であったため、研究活動を実施することができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成28年1月に妊娠がわかってから6月上旬に産前休業に入るまでの期間、研究者は双胎妊娠で医学的にハイリスクな状態だったことから安静が必要となり、研究業務を大幅に縮小せざるを得なかった。また、妊娠に起因する体調不良により、量的データ分析等の集中力や時間を要する研究活動を行うことが困難だった。そのため、関連する先行研究の収集といった比較的シンプルな活動のみにとどまった。また、平成29年度は全期間にわたり育児休業中であったため、研究活動は実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は双子の1歳児を育てながらの研究活動となるため、効率的に研究活動を行う必要がある。産育休取得前には、平成30年度の4月から6月にかけて、秋の学会全国大会シーズンに向けて第3の検証仮説についての分析を行うことを予定していたが、今年度は所属学会(日本社会学会、日本社会福祉学会)報告エントリー締切が5月上旬と例年にくらべて早く、4月下旬の今からでは報告に向けた分析・考察が間に合わないため、今年度はすでに分析が完了している仮説の論文化を優先し、成果物を出版することに重点を置く。 具体的には、すでに量的・質的分析が終了し、第87回・88回日本社会学会において報告した2点の検証仮説(女性の就労経験が高齢期の社会参加に及ぼす影響、地域における居住年数と高齢期の社会参加の関連)についての論文化を優先タスクとし、次いで作業途上の検証仮説について、学術的・社会的な意義が大きいと考えられる第3・第4の検証仮説(高齢期の新たな交友関係と社会参加の関連、壮年期の仕事が高齢期の社会参加に及ぼす影響)について、平成27年度に購入したテキストマイニングソフトウェアを用いて、インタビューデータの分析を行う。また、平成27年度以降の研究計画において、質的・量的データの混合研究法を用いる方針に転換したことを受け、JAGES(Japan Gerontological Evaluaiton Study 日本老年学的評価研究)データを用いた統計解析の量的分析も進める。
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Causes of Carryover |
平成29年度は全期間にわたり育児休業中であったため、研究活動を実施できず、次年度使用額が生じた。 育休取得前には、文献資料等の収集整理等のためにアルバイト謝金や学会発表旅費等に使用する計画だった。しかし、双子の1歳児を育てながらでは、不意の病気等で研究室ではなく自宅で研究活動を行わざるを得ない状況がかなりの頻度で発生すると考えられる。そのため、アルバイト職員を雇っても作業監督にあたれずキャンセルになったり、指示伝達が不十分になったりする可能性が高い。また、秋の学会全国大会の締切時期が例年より早まったことで報告エントリーが困難になり、旅費支出も少額になると考えられる。一方で、わずかな時間を有効活用して着実に成果を上げる必要がある。そこで、ノートパソコンを購入し、暗号化ソフトを利用する等してセキュリティ環境を高めた状態で常に携帯し、研究時間を確保したいと考えている。
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