2012 Fiscal Year Research-status Report
「地域の居場所」における利用客(者)同士のネットワーク創出過程に関する研究
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24730488
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
倉持 香苗 日本福祉大学, 福祉社会開発研究所, 研究員 (40469044)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地域福祉 / 福祉コミュニティ / コミュニティカフェ / 居場所 / 住民主体 / コミュニティ・ソーシャルワーク / コミュニティワーク / ソーシャルワーク |
Research Abstract |
平成24年度は、前年度に実施した全国コミュニティカフェ運営の実態調査(量的調査)の分析をおこない、全国のコミュニティカフェ運営の実態とスタッフのアプローチの内容について統計的に明らかにした。本調査はわが国において前例のない調査であったため、全国のコミュニティカフェを対象に独自のリストを作成し666票を郵送配布した。有効配布票は625票であり有効回収票は337票、有効回答率は53.92%であった。 本調査により、コミュニティカフェ運営の実態のみならず、そこで働くスタッフの利用客(者)や地域(住民含む)に対するアプローチの詳細について明らかにしたことは、地域における人々の支え合いの関係を再構築する拠点となるコミュニティカフェのあり方を問う点において意義があった。また、スタッフのアプローチに関しても、「社会的に排除されがちな人々を含めた地域づくり」や「個が生かされる地域づくりに」関して示唆に富む調査結果を得ることができた。 さらに事例研究を実施し、コミュニティカフェにおけるスタッフの関わりについて明らかにしようと試みた。具体的には、参与観察およびインタビュー調査を実施し、量的調査では明らかにされなかった、利用客側が捉えたコミュニティカフェの存在意義を明らかにしようと試みた。また、可能であれば地域住民に対するアンケート調査およびインタビュー調査を実施し、コミュニティカフェの存在が地域にどのような影響を与えているかについて探った。現在は、さらなる事例調査研究に取り組んでいる。 これらの取り組みの結果は学術論文にまとめたほか、次年度は学会で報告することが予定されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究業績の概要」で述べたとおり、本年度は量的調査の分析および事例調査研究を実施した。この調査結果および分析結果については、学術論文にまとめることができた。また、事例調査研究については、コミュニティカフェ側が本研究に対する関心を抱き研究協力を申し出てくださったことから、予定より早く参与観察およびインタビュー調査(場合によっては住民に対するアンケート調査)を実施することができた。 現時点においては計画書に沿った研究を着実におこなっていることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究に滞りがないため、研究計画書に沿って研究を進める。具体的には、昨年度に引き続き参与観察を実施し、量的調査(数値)では明らかにできなかった、現場実践に基づいた分析をおこなう予定である。 また、多様なコミュニティカフェ運営の形態およびスタッフの実践を分析し、利用客(者)同士のネットワークが創出される過程を一般化するために、さらに数か所の調査地を選定し、調査分析を進める。 また、参与観察で関わる調査地の中から数か所の記録を分析する。記録を分析に用いる理由は、研究者が関わる時間以外の出来事(コミュニティカフェの日常)を把握するため、さらに利用客(者)および住民がコミュニティカフェにどのように関わっているのか、内部でどのように交わっているのかを把握するためである。さらに、スタッフがどのように考え、アプローチしているのかについても把握するためである。記録は、量的調査では明らかにしきれなかった点および事例調査研究では把握しきれなかった点についてスタッフの視点から描写されていることから、コミュニティカフェ運営の現状を広い視点で捉えることができると考える。 平成25年度は、これまでに実施した調査研究の成果を公表する予定である。現時点では、第27回地域福祉学会(桃山学院大学)において量的調査報告をおこなうほか、第61回社会福祉学会(北星学園大学)で開催される「大会校プログラム 若手研究者のためのワークショップ」(質的調査と量的調査を組み合わせた研究ワークショップ)において、「トライアンギュレーション手法を用いた研究事例」として報告をおこなうことが決定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、今年度に引き続き事例研究を実施し、学会などで成果を公表する予定である。そのために以下の通り研究費を使用する予定である。また、研究計画通りに予算を執行した結果、小額の繰り越しが発生したが、次年度の研究に含めて執行する予定である。 1:参与観察(交通費、宿泊費、インタビュー謝礼、テープ起こし、通信費、専門的知識提供、会議費等) 2:資料収集(コミュニティカフェおよび地域づくり、居場所など関連する資料収集等) 3:成果発表(交通費、宿泊費、学会参加費等) 4:その他、プリンタインクなど印刷に関わる費用やボイスレコーダーの電池や文具などの消耗品。
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Research Products
(1 results)