2012 Fiscal Year Research-status Report
施設コンフリクトとソーシャル・キャピタルとの相関に関する比較実証研究
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24730492
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
野村 恭代 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 講師 (10461188)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ソーシャルキャピタル / 施設コンフリクト / 共生 / イタリア / UFE / 相互扶助 |
Research Abstract |
本研究の目的は、施設コンフリクトという地域で生じた問題を乗り越えることにより、コンフリクト当事者間(地域住民間)の絆が深まり、地域の社会関係資本が高まる可能性を実証的に明らかにすることである。さらに、先行研究では、社会関係資本(ソーシャルキャピタル)の豊かな地域では、人と人との助け合いや相互扶助の理念が存在することが確認されている。つまり、ソーシャル・キャピタルの豊かな地域では、障害者への理解も高いことが予想され、ソーシャル・キャピタルの豊かな地域とそうではない地域における障害者観には違いがみられると推測される。そこで、本研究においては、地域のソーシャル・キャピタルを豊かにすることにより、あらゆる人々の「共生」が可能となることを明らかにしたい。そのために、これまでにソーシャル・キャピタルに関する調査が実施されており、かつ、顕著な違いのみられる2箇所の具体的地域を取り上げ、施設コンフリクトにかかわる社会関係資本との関連について比較を行う。具体的な調査対象地域としてイタリアを想定している。イタリアではすでにソーシャル・キャピタルに関する量的・質的調査が実施されており、データとしても入手可能である。 平成24年度は、上記の研究目的及び研究計画に基づき、平成25年度実施予定である本調査の予備調査及び準備を行った。具体的には、イタリアの2箇所の地域において予備調査を実施した。1箇所はトレンティーノ=アルト・アディジェ州の州都であるトレント、そしてもう1箇所はフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州のトリエステである。予備調査の結果、トレントにおいては、地域に「UFE」という当事者とその家族の専門的な活動が存在することが明らかになった。平成25年年度は、予備調査の結果から、トレントのに焦点をあて、UFEの存在とソーシャルキャピタルとの相関性を検証したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度にはイタリアでの本調査を予定しており、そのため、平成24年度には本調査に向けた準備及び予備調査を実施する必要があった。その予定通り、平成24年度にはイタリアにおいて本調査の予備調査及び準備を実施することが可能となった。ここで、予備調査地域とは、トレンティーノ=アルト・アディジェ州の州都であるトレント及びフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州のトリエステである。 予備調査の結果、トレントには専門化した当事者及び家族から構成される「UFE」という組織が存在し、このUFEがトレントの地域精神保健において重要な役割を果たしていることが明らかとなり、平成25年度の本調査の対象を焦点化することが可能となった。また、日本の地域精神保健を展開する上での一つのモデルを提示し得る可能性を示すことができた。 さらに、平成24年度には、予備調査及び文献研究の結果に基づき、シンポジウム及び講演を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、上述した研究計画に基づき、イタリアでの本調査を実施する予定である。調査対象地域として、トレンティーノ=アルト・アディジェ州の州都であるトレントを想定している。調査時期は8月から9月または2月から3月を予定している。 研究の方法としては、「UFE」に焦点をあて、その存在が地域のソーシャルキャピタルにどのような影響を与えているのかを明らかにするため、UFEへの聞き取り調査を予定している。また、平成24年度から引き続き、サッサリ大学教授のMaria Grazia Giannichedda(マリアグラツィア・ジャンニケッダ)教授に助言をいただく予定である。 国内の調査としては、沖縄県及び岡山県での調査を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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