2013 Fiscal Year Research-status Report
施設コンフリクトとソーシャル・キャピタルとの相関に関する比較実証研究
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24730492
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
野村 恭代 大阪市立大学, 生活科学研究科, 准教授 (10461188)
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Keywords | ソーシャルキャピタル / コンフリクト / イタリア地域精神保健福祉活動 / UFE / 相互扶助 |
Research Abstract |
本研究では、施設コンフリクト発生とその合意形成には地域の社会関係資本が関与していることを明らかにすることを目的としている。つまり、施設コンフリクトを乗り越えることにより、コンフリクト当事者間の絆が深まり、地域の社会関係資本が高まる可能性を実証的に明らかにすることである。さらに、先行研究によると、社会関係資本の豊かな地域では、人との助け合いや相互扶助の理念が存在することが確認されている。 上記の研究目的及び研究計画に基づき、平成25年度は、平成24年度に実施した予備調査の結果から、トレンティーノ=アルト・アディジェ州に位置するトレントに焦点をあて、UFE(Expert Users and Family members)の存在とソーシャルキャピタルとの相関性を検証する予定であった。しかし、調査協力機関の事情により、平成26年度に調査時期を変更することとなった。そのため、平成25年度には調査に向けた先行研究の整理、UFEとの電子媒体を用いた情報交換、日本版UFE設立の準備等を行った。また、平成26年度に実施する予定である日本でのUFEメンバーによる講演会の準備等を行った。 また、国内の調査対象地である沖縄県での予備調査を、沖縄県八重山郡竹富町にある唯一の作業所にて実施することができた。平成26年度には、本調査結果を基に、引き続き沖縄県での調査を実施する予定である。 さらに、平成25年度は、前回、採択を受けた科学研究費補助金(若手研究(B)テーマ:精神障害者施設と地域との良好な関係形成に向けた施設コンフリクトの実証的研究(研究代表者:野村恭代))と現在までの研究成果を単著としてまとめ出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、イタリアでの本調査を実施する予定であったが、調査協力機関の事情により、平成26年度に調査時期を変更することとなった。そのため、平成25年度には調査に向けた先行研究の整理及びUFEとの情報交換を定期的に行うとともに、平成26年度に予定していた日本版UFE設立の準備等を平成25年度に実施した。さらに、平成26年度に実施する予定である日本でのUFEメンバーによる講演会の準備等を行った。また、国内の調査対象地である沖縄県での予備調査を、沖縄県八重山郡竹富町にある唯一の作業所にて実施することができた。また、平成25年度には、トリエステで活動するペッペ・デラックア氏(トリエステ精神科医)及びサッサリ大学教授のMaria Grazia Giannichedda(マリアグラツィア・ジャンニケッダ)教授による大阪での講演にスタッフとして参加した。 イタリアでの調査時期は1年後に変更となったものの、平成26年度に予定していた研究項目の一部実施が可能となったため、4年間の研究計画においてはおおむね順調に展開することができていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には、上述したこれまでの研究成果等に基づき、イタリアでの本調査を実施する予定である。調査対象地域として、トレンティーノ=アルト・アディジェ州の州都であるトレント及びフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州に位置するトリエステを想定している。調査時期は9月及び3月の予定で調整を行っている。 研究の方法としては、トレントでは「UFE」に焦点をあて、その存在が地域のソーシャルキャピタルにどのような影響を与えているのかを明らかにするため、UFEへの聞き取り調査を予定している。トリエステでは、イタリア地域精神保健福祉がどのように展開してきたのかについて、日本への導入を視野に入れ関係者に聞き取り調査を実施する。また、平成24年度、25年度から継続して、サッサリ大学教授のMaria Grazia Giannichedda(マリアグラツィア・ジャンニケッダ)教授に助言をいただく予定である。 国内の調査としては、沖縄県での調査を実施する予定である。また、本研究結果を基盤として日本版UFEの設立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、イタリアでの本調査を実施する予定であったが、調査協力機関の事情により、平成26年度に調査時期を変更することとなったため、イタリアにおける調査費用及び研究補助者(通訳者)の人件費が未使用となった。 次年度使用額に関しては、平成25年度に実施予定であったイタリアでの本調査を実施するための費用として使用する。調査対象地域は、トレンティーノ=アルト・アディジェ州の州都であるトレント及びフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州に位置するトリエステであり、調査時期は9月及び3月(それぞれ2週間)の予定である。
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