2013 Fiscal Year Research-status Report
精神科医療機関における虐待を最小化する、市民主導型人権保障活動の方法論構築
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24730493
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Research Institution | Osaka University of Human Sciences |
Principal Investigator |
吉池 毅志 大阪人間科学大学, 人間科学部, 准教授 (60351706)
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Keywords | 精神医療 / 人権保障 / 市民運動 |
Research Abstract |
2年目の研究では、東京をはじめとする各地の活動実態の調査に取り組んだ。第一に、東京精神医療人権センターの実務を担ってきたメンバーへのインタビュー調査の準備として、「地域業務連絡会(通称:地業研)」の会議に参加し関係を形成し、後日、同団体が所蔵する多くの文献資料(ダンボール4箱分)を譲り受けることができた。年度末までに、2回のグループインタビューを実施した。第二に、神奈川精神医療人権センターについて、代表者にプレインタビューを実施した。団体の活動は2名で継続されていたが、状況の変化により活動停止を検討している段階を迎えており、情報提供者の拡大、資料収集については課題を残した。第三に、京都・滋賀精神医療人権センター(活動を終了した団体)の事務局を担当していた人物を中心に、中心的に関与してこられた人物複数名に対して、インタビューを実施した。その際、活動の発足過程が記載された文献資料を入手することができた。第四に、新潟ぬくもりの会について、NPO設立時中心的な役割を果たした人物に、インタビューを実施した。精神科病院への情報公開活動に取り組んだ団体が、精神医療人権センターへと展開せず、地域の生活支援活動を展開した経緯を確認した。第五に、大阪精神医療人権センターの展開過程について、日本社会福祉学会において、研究成果を公表した。第六に、最終年度に計画しているサンフランシスコにおける調査について、現地で権利擁護機関の理事をしている人物の協力を得て、具体的に調査計画を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大阪精神医療人権センターへの調査については、市民活動の発展過程まで分析し、日本社会福祉学会において計画通り発表できた。一方、大学紀要への論文提出には至らなかった。その理由として、世代交代の時期を迎えている同団体において、筆者が中核的な担い手となったことと、団体を取り巻く状況として精神保健福祉法改正という重要な局面を迎えており、これらに関与する活動に多くの時間を配分せざるを得なかった点が挙げられる。 上記に挙げた状況の変化に伴って、9月に実施した学会発表までは大阪調査の分析が主となったため、東京および新潟における調査については、インタビュー調査の実施時期が3月に集中した。そのため、インタビューデータおよび文献資料の分析は次年度に取り組む課題となった。また、京都・滋賀、神奈川については、インタビュー調査に着手はできたものの、分析には着手できず、インタビュー調査と資料分析の継続が課題となった。兵庫精神医療人権センターについては、調査協力者に連絡が取れない状況が長く続き、着手できなかった。サンフランシスコでの調査については、概ね計画通りであり、次年度実施の見込みである。 全体としては、インタビュー調査と文献資料の収集は概ね進展し、その分析と発表、論文化には課題を残している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、第一に、大阪精神医療人権センターに関する調査結果について論文執筆し、大学紀要に公表する。第二に、東京精神医療人権センターの発足過程について分析し、日本社会福祉学会において発表する。第三に、京都・滋賀精神医療人権センターおよび神奈川精神医療人権センター、兵庫精神医療人権センターのインタビュー調査を終了し、インタビュー調査を終えた新潟ぬくもりの会の調査と合わせて、それぞれを分析して公表の準備に取り組む。第四に、サンフランシスコ調査については、9月に日本において協力者にプレ調査を実施し、10月には現地にて関係者に対してプレ調査を実施する。その後、3月に現地でのインタビュー調査を実施する。海外調査については、海外調査の実績がある国内研究者から調査協力を得て、調査準備段階から分析段階まで、詳細な検討を加える計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未完の国内調査が複数あり(東京、神奈川、京都・滋賀、兵庫)、それぞれのインタビュー調査謝礼、及び録音データの文章化に関する人件費として、残余金が発生した。 加えて、最終年度における海外調査には一定の経費を確保しておく必要性があり、意図的に当該年度における支出を抑えている。 国内調査におけるインタビュー調査謝礼、その録音データの文章化に関する人件費、海外調査における準備経費および、初めての海外調査実施上の想定されない支出に使用する計画。
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Research Products
(1 results)