2014 Fiscal Year Annual Research Report
精神科医療機関における虐待を最小化する、市民主導型人権保障活動の方法論構築
Project/Area Number |
24730493
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Research Institution | Osaka University of Human Sciences |
Principal Investigator |
吉池 毅志 大阪人間科学大学, 人間科学部, 准教授 (60351706)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 精神医療 / 人権保障 / 市民運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度はサンフランシスコにおける権利擁護団体の活動史調査に取り組んだ。第一次調査として、10月にサンフランシスコ・メンタル・ヘルス・クライエント・ライツ・アドボケイツ(SFMHCRA)を訪問し、州立病院精神科における定期滞在型権利擁護活動に同行しその実際を視察した。インタビュー調査では、70年代に多様なマイノリティの人権保障運動に関わったキーパーソンの存在が明らかとなり、社会問題となっていた精神科医療での人権問題を解決するために、当事者運動のリーダーに協力を依頼し、精神科入院患者の人権を具体的に擁護する組織がつくられていった経緯が明らかとなった。その際、保健局のディレクターが権利要求運動を受ける側に立ちつつも、権利擁護を担う組織が誕生するよう行政主導ではない後方支援をしていたことも明らかとなった。また、財団による資金援助が大きな後押しとなり、それらをマネージメントしていた財団のソーシャルワーカーも重要な役割を果たしていたことも明らかとなった。 3月の本調査では、30年間活動を続けてきた当事者性のあるアドボケイトへのインタビューを中心に調査した。電気ショック療法で受けた心的外傷経験がきっかけとなり、反電気ショック療法運動の先頭で活動し、自らの経験を活かしてアドボケイトとなっていった経緯が明らかとなった。彼女らの活動と資質が評価され、保健局のディレクターの後押しがあり、サンフランシスコでは権利擁護活動を民間委託した経緯があった。 比較調査としてブロンクスのエンパワメントセンターを訪問し、アドボケイトにインタビュー調査を実施した。当事者のみで運営している組織の中でアドボケイト研修を実施し、病院への定期訪問に取り組んでいた。80年代にカリフォルニアを中心にして当事者活動間のネットワークが活発となり、そのリーダーらが各地の当事者活動に影響を与えていたことも明らかとなった。
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