2013 Fiscal Year Research-status Report
児童相談所が自殺対策に果たす機能とそのための支援ネットワーク構築の検討
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24730501
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
白神 敬介 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 自殺予防総合対策センター, 非常勤研究員 (20598635)
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Keywords | 児童相談所の実態調査 / 自殺予防 / マニュアル作成 |
Research Abstract |
2013年度においては、調査の実施と手引きの開発が並行して進められた。 調査は全国の児童相談所を対象として行われ、児童相談所における自死遺児の実態と、児童の家族の自殺関連行動ならびにメンタルヘルスの問題の実態把握が目的であった。また、今後の支援体制の検討のため、連携体制やその課題についても調査項目とした。調査実施の経過としては、2013年度中に専門家や関係機関と複数回の協議のうえ調査プロトコルを決定し、倫理審査の承認を経て、2014年1月~3月の調査期間で実施した。調査の回収率は73.9%(153/207)であった。多くの児童相談所の協力を得ることができ、これまで把握されることのなかった児童相談所における自殺関連問題の実態理解が可能となった。これにより、児童相談所で把握される自死遺児や自殺関連問題についての援助と、そのために必要な支援体制を具体的に検討する基礎情報が得られた。 手引きについては、児童相談所で把握される自殺関連問題に対して、児童相談所の援助者が参照可能なものとして作成を進めた。この手引きは先述の調査結果を踏まえ、児童相談所において外部機関も含めた援助体制を構築するうえでの課題を受けたものとなる。これまで専門家との協議のなかで示された提言についても検討材料とし、2013年度中に項目案を作成した。調査報告の提示とともに手引きの公表を進めることで、児童相談所で抱えている問題の解決に資すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査がほぼ完了したことで、2012年度と2013年度の研究目的であった、児童相談所における自殺関連問題・メンタルヘルスの問題についての実態把握と、児童相談所の支援ネットワークの把握が行われた。あわせて2014年度の研究目標の遂行に関わる手引きの作成が進められているため、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は調査結果の公表と追加の情報収集を行う。調査結果の公表については、学会発表および国内外の学術雑誌への投稿を行う。追加の情報収集は、調査で把握された課題についての取り組み事例や、先進事例を中心的に収集する。これらは児童相談所で利用できる手引きの作成に役立てられる。なお、研究計画として挙げた先進的な取り組み事例への聞き取りについては、手引きの内容を勘案しながら対象者の再検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アルバイト人材の確保が計画通りに進行できず、そのために人件費として使用予定であった予算が未使用となった。 研究費は主に、調査報告書の作成、ヒアリングの旅費、研究発表の経費に充てられる。前年度からの未使用分については主に人件費として使用する。
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