2014 Fiscal Year Annual Research Report
社会規範における「当為的信念」の成立基盤についての研究
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24730509
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
清水 裕士 広島大学, 総合科学研究科, 助教 (60621604)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 社会規範 / 文化的信念 / ソーシャルサポート |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は,ソーシャルサポート希求における規範が文化によってどのように異なるかについて検討を行った。友人に対する援助の間接的要求の使用が,地域や文化における人間関係の自由度によって影響されることを明らかとした。さらに,人間関係の自由度と間接的要求の関連は,人に嫌われることを避ける悪評回避の文化的信念によって媒介されていることが明らかとなった。 これまで申請者は間接的要求が,友人が自分のことを積極的に助けてくれる人であるかどうかを査定する機能を持つことを明らかにしてきた。本年度では,この間接的要求の友人査定機能が,人間関係の自由度によって規定されていることを明らかにした。それは,人間関係の自由度が低い環境では直接的要求を承諾しないデメリットが大きいため,承諾が利他的な意図を持っているかどうかを判断することができない一方,間接的要求に承諾した場合,友人が利他的な意図を持っていることが類推できるからである。人間関係の自由度が低い環境では悪評回避的文化的自己観が高くなることによって,直接的要求が友人査定機能を持たなくなるからである。 WEB調査を実施し,日本全国からデータを収集した。地域を単位にマルチレベル構造方程式モデルによって分析した結果,データはこの仮説を支持し,人間関係の自由度が低い環境では悪評回避的文化的信念が高く,それによって間接的要求が高くなることが明らかとなった。具体的には,人間関係の自由度が悪評回避を媒介して,間接的要求の使用を高める結果となった。
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Research Products
(15 results)