2013 Fiscal Year Research-status Report
空間統計学を用いた態度構造と態度変容の三次元モデルの構築
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24730510
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小杉 考司 山口大学, 教育学部, 准教授 (60452629)
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Keywords | 社会的態度 / 空間統計学 / グループ・ダイナミックス |
Research Abstract |
態度空間の三次元モデルにおいて,二つのモデル的展開が見られた。 第一は,多相データの祝役を目的としたモデリングである。具体的には、家族関係のデータを用い、家族成員がそれぞれの認知空間の中で構成している家族関係と,行動次元で現れるであろう主体と客体が一致した家族関係の間のギャップを第三次元とし,二次元の認知マップ上にこのような「認知と行動のずれ」を力の場としてモデリング,解釈できることについて学会報告した。この展開の意義は,これまで三次元モデルで表現してきたデータが個人内の選好度,非対称性,リーダーシップ特性などであったのに加え、集団における個人間の認知的ストレスを表現する可能性を示したこと、特により実践的な解釈のできるデータを扱えることが示されたことである。 第二は,構成された心理空間の妥当性を検証するモデルの構築で,具体的には,友人関係の交流を時系列的に追いかけた縦断的ソシオメトリックデータを用い,イメージ等の心理空間と集団全体に対する態度尺度の関係を,空間回帰分析したところ,有為な関係のある次元が見いだされたことを学会報告した。この展開の意義は,三次元表現された心理空間モデルにおいて,その空間特性がただのモデル上の表現ではなく,他変数との関連の上で解釈できること、Abelsonモデルの電磁場メタファがある種の妥当性を持つことを示せたことにある。 今後はこの展開をふまえて,多相なデータのずれを表現し,かつ,電磁場のメタファが有用であることを示し,最終的に三次元空間の能動的なモデルへとつなげることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに進行しており,空間モデルを活用できるシーンの選定や妥当性の検証,今後の展開への橋頭堡を確立できている。申請時の計画に比べるとその内容は変更することになったが,今年度の分析事例に基づいて,次年度に続くデータ収集の指針もたてられ,継続して研究を続けることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終的に動的なモデルに展開していくために,二次元空間で表現される対象間関係と,三次元方向で表現される外挿変数との関係を明らかにする必要がある。ツールとしては,空間回帰モデルが利用できることが既に明らかになっており,昨年度末に収集されたデータを使って可能性を確認,実戦に向けたモデリングを考えていく必要がある。 既に得られた二種類のデータを解析し,時系列的な空間モデルでどのようにエージェントが動くかについて,エージェントモデルとして必要な主体的関数を考えるため,他領域からの多角的な示唆が必要であると考えている。エージェントモデルを構成するための環境の準備も今年度の課題である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費として予算計上していたが,予定より少額ですんだため 今年度の旅費に充てる
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Research Products
(5 results)