2012 Fiscal Year Research-status Report
なぜダイエットに失敗するのか?社会的認知研究からの有効な自己制御方略の検討
Project/Area Number |
24730515
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
樋口 収 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特任講師 (50625879)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 自己制御 / 目標と誘惑の葛藤 / ダイエット |
Research Abstract |
平成24年度は以下の2種類の実験を実施し,また1種類の実験を継続中である。本研究の目的は,ダイエットという自己制御文脈における心理プロセスを解明し,その有効な解決方略を提言することである。一般的に,ダイエットがうまくおこなえないのは目標と誘惑との葛藤を解決できないため,といわれる。しかし,本研究で注目しているのは(むしろ逆に)ダイエットがうまくできない者は,目標と誘惑との葛藤を知覚できていないのではないか,ということである。 この仮説を検討するため,平成24年度は2種類の実験を行った。1つは,BMIと(心理的)食べ物に対する接近・回避傾向の関連を検討した。またもう1つは,BMIと誘惑物(例. お菓子)を我慢する際のストレス指標との関連を検討した。いずれの実験からも示唆されることは,BMIが低い人ほど(すなわち,ダイエットがうまく出来ている人ほど),ダイエット目標とそれを妨げる誘惑との葛藤を感じているということである(例えば,後者の実験では,BMIが低い人ほど,お菓子を我慢しなければいけないと伝えられたときにストレスが高まっていた)。先述のように,ダイエットがうまくできないのは,一般に,目標と誘惑との葛藤を解決できないためと言われることが多いが,本研究の結果から示唆されることは,むしろ,そういう人は葛藤が知覚できていないということである。 この研究結果にもとづき,目標と誘惑との心理的葛藤を強めることで,ダイエットがうまくできるようになるか,という研究を現在進行中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように,予定していた実験は順調に実施されている。またそれらの結果についても,当初の予定どおり海外学会で報告を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,ダイエットにおける目標と誘惑との葛藤の知覚がダイエットの正否に及ぼす影響を実験的に検討する。具体的には,目標と誘惑物との葛藤の知覚を実験的に操作し,それらがダイエットに関する判断・行動に及ぼす影響を検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|