2013 Fiscal Year Annual Research Report
なぜダイエットに失敗するのか?社会的認知研究からの有効な自己制御方略の検討
Project/Area Number |
24730515
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
樋口 収 一橋大学, 大学院社会学研究科, 特任講師 (50625879)
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Keywords | 自己制御 / 目標と誘惑の葛藤 / ダイエット |
Research Abstract |
平成25年度は1つの実験を実施し、またその成果をアメリカ人格社会心理学会(Society for Personality and Social Psychology)にて発表した。さらに、この科学研究費助成事業にもとづき実施された研究成果を論文として発表した。 平成25年度に実施した実験は、健康的なもの(例えば、野菜)、あるいは非健康的なもの(例えば、お菓子)に対して接近、あるいは回避する操作に加えて、そのいずれに対しても接近する操作を加えた。後者の操作は、健康的なものと非健康的なものという本来矛盾するものをいずれもポジティブにさせる操作になるため、葛藤の知覚が高まると想定した。実験の結果、葛藤の知覚が高まると、自己制御が阻害されることが示唆された。 この結果は当初想定していた結果とは異なるものである。一つの可能性としては、健康的なものと不健康なものとが、当初想定していたように矛盾するものではなく、両立することも可能であることが考えられる。すなわち、不健康なものもとるが、健康的なものもとることができ、両方の目標を追求する可能性が考えられる。このような場合、健康目標の方が長期目標に相当するため、短期目標(例えば、お菓子を食べる)を追求したあと、長期目標をとるという戦略をとることが目標追求による利益を最大化することにつながる。そのように考えると、目標が葛藤した場合に、自己制御が阻害されることも説明ができる、と考察した。
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