2013 Fiscal Year Research-status Report
言語コミュニケーションによる先入観の共有過程の解明
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24730516
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
菅 さやか 愛知学院大学, 教養部, 講師 (30584403)
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Keywords | ステレオタイプ / コミュニケーション / 言語カテゴリー・モデル |
Research Abstract |
平成25年度は、平成24年度に900名を対象にして実施したインターネット調査のデータ分析を進めた。調査は、日本社会においてどのような集団に対して、どのような差別や偏見が持たれているかを明らかにすることを目的としていた。平成24年度の段階では、宗教団体、外国人、障がい者に対するステレオタイプが広く共有されていることが明らかになっていた。平成25年度において、自由記述の分析と、先行研究に基づく尺度評定値の分析を行った結果、宗教団体や外国人に対しては、「怖い」といった脅威を感じていることを表すステレオタイプが認識されていることが明らかになった。また、障がい者に対しては「かわいそう」といった慈悲的なステレオタイプの共有性が認識されていることも示された。日本社会心理学会第54回大会において、本研究の成果を発表したところ、ステレオタイプの共有的な認識が、差別や偏見を引き起こすという本研究の前提や、実際に得られた調査結果に対し、多くの関心が寄せられた。年度の後半には、調査によって得られた自由記述データのテキストマイニングを行うことにより、研究2に着手した。また平成25年度は、「心理学基礎実験(仮)」(大和田智文・鈴木公啓編著・北樹出版より出版予定)において、連鎖再生法を用いた実験手法の解説を行った。これは、社会・国民への研究成果の発信の一手段になっていると考えられる。今後着手する実験室実験においては、この連鎖再生法に基づいて、実験を構成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度末に実施した調査の分析を平成25年度に進めたことにより、研究2の実施が遅れた。また、平成25年度より申請者の所属機関が変更となり、研究環境を整えるために時間がかかったことも、研究が遅れた一因となっていると考えられる。研究2については、自由記述データのテキストマイニングまで終了しており、欧米語圏で行われてきた先行研究の結果と一致し、日本においても形容詞および形容動詞でステレオタイプの内容が記述されることが多いことが示されている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には、主に実験室実験を行う。また、それらの成果を学会や学術雑誌で発表するための分析や文献のレビューも行なう予定である。申請者は、平成25年度より愛知学院大学に赴任し、約1年かけて実験室実験を行うための環境を整えてきた。現在は、実験室にコンピュータを配置し、そのコンピュータを用いて実験参加者の反応を記録することが可能になっている。実験を実施するにあたり、申請者が所属している愛知学院大学の学部生や大学院生に、実験者または実験参加者としての研究の協力を依頼する。データのまとめやコーディングの作業にあたっては、名古屋大学環境学研究科・唐沢穣教授や愛知学院大学心身科学部・岡本真一郎教授に協力を依頼し、各研究室に在籍する大学院生等をアルバイトとして雇用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に実施した調査の分析に遅れが出てしまい、平成25年度に実施する予定であった質問紙調査や実験室実験を行うことができず、アルバイト雇用のための人件費や謝金を使用することができなかったため。 平成25年度に実施することができなかった実験室実験を平成26年度に行う。実験室実験を遂行するにあたり、実験者として学部生や大学院生を雇用するために助成金を使用する。また、実験参加者として実験に協力した学生に対しても、謝金を支払う必要があるため、助成金が必要となる。
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Research Products
(2 results)