2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730517
|
Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
林 幹也 明星大学, 人文学部, 准教授 (80435081)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 態度 / 潜在的態度 / 態度変容 / 自己制御 / 社会心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
人は、快情動的事象あるいは不快情動的事象のいずれかに対して持続的に注意を集中させることによって、それらの事象に先行する対象に対する肯定的態度あるいは否定的態度を形成する。申請者が本研究課題開始に先立って発見した以上のような効果を“態度形成の意図的探索効果”と呼ぶ。 平成26年度の研究目的は、この効果の再現性と頑健性を明らかにするために、被験者間計画での実験を試み、被験者内計画での結果と比較した。従来確認されている被験者内計画による実験では、1名の参加者に対して2つの無意味図形を呈示した。いずれの無意味図形が出現したときも、その直後に快画像と不快画像がそれぞれ50%の確率で出現した。参加者は、片方の無意味図形(Sp)の出現直後に快画像が出現したときと、他方の無意味図形(Sn)の出現直後に不快画像が出現したときにのみ、手元のキーを押すよう指示された。これにより、参加者はSpをSnよりも安定的に好むことが明らかにされた。だが平成26年度はこの比較を被験者間で実施した。すなわち、半数の参加者には無意味図形Spと、その対照条件となる別の無意味図形を呈示し、Sp出現直後の快画像に対してのみキーを押すよう指示した。また、残り半数の参加者に対して無意味図形Snと、その対照条件となる別の無意味図形を呈示し、Sn出現直後の不快画像に対してのみキーを押すよう指示した。以上の被験者間計画による実験を繰り返した結果、被験者間計画では、態度形成の意図的探索効果が安定して得られないことが明らかとなった。この結果が意味することは、従来の被験者内計画による頑健な態度形成効果は、被験者内での何らかの対比効果に負うところが大であったのではないかということである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
態度形成の意図的探索効果が、被験者内計画では十分に再現されないことが明らかになりつつあるためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
被験者間計画にて十分な態度形成効果が得られないのであれば、本研究課題の“態度形成の意図的探索効果”の背景に仮定される態度の自己制御システムの存在が疑わしくなるであろう。そこで、被験者間計画の実験にて十分な数の参加者を用意し、態度形成効果の有無をより確実に検証する必要がある。
|
Causes of Carryover |
態度形成の自己探索効果を被験者間計画の実験で確認したところ、この効果の再現性が当初の想定よりも低かった。再現性の低さの原因を探るのに時間がかかり、当初の予定よりも遅いペースで実験をすすめることとなり、結果的に予算消化量が小さくなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
態度形成の自己探索効果の頑健性と再現性について、昨年度得た仮説を元に実験計画を変更して検証作業を続ける。
|
Research Products
(2 results)