2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730518
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
尾関 美喜 早稲田大学, 人間科学学術院, 助教 (30574735)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 集団アイデンティティ |
Research Abstract |
集団アイデンティティは、「自分がある社会集団に所属している」という個人の認知と、その集団の成員であることに伴う価値や情緒的意味をさす(Tajfel, 1978)。 集団アイデンティティ研究において、「集団全体でみた場合の集団アイデンティティ、すなわち、集団レベルの集団アイデンティティ(Hogg, 1992; 以下GGI)とは何か」という問いは、大きな未解決課題であり続けてきた(Postmes et al., 2006)。そこで、本研究では、マルチレベル・アプローチによって、GGIが集団成立の基盤であるかを明らかにする。それによって、「集団レベルの集団アイデンティティとは何か」という問いに答えを出す。そして、集団そのものにとっての、集団アイデンティティの機能を明らかにする。 そのために、多様な集団を対象として、集団レベルで、集団アイデンティティが集団の条件となる指標を予測しているかを検討する。人々の集まりが集団であるためには、①集団規範、②成員間の相互交流、③成員間の情緒的絆、④成員間の相互依存性 の4つが必要である(Levin & Moreland, 1994) 。これまで、申請者らによって、GGIが、集団規範の形成に寄与することが明らかにされている(尾関他, 2011)。本研究では多様な集団を対象に、残る3つの条件、すなわち、成員間の相互交流、成員間の情緒的絆、成員間の相互依存性を、集団レベルの集団アイデンティティが予測するかを、マルチレベル・アプローチによって検討する。 平成24年度は、大学のゼミ集団を対象とした質問紙調査による縦断調査を実施した。その結果、おおむね予測に沿った結果が得られ、結果は翌年度の学会にて発表される。 並行して、集団アイデンティティが集団規範の形成に寄与することを示唆する結果を論文にまとめ、国際誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ゼミ集団を対象とした調査で、集団アイデンティティと集団成立の条件となる指標との因果関係をより明確にするために、申請時は6月頃の横断調査のみの実施であったところを、11月にも再度データを採る縦断調査に切り替えたたために、部活動・サークル集団を対象とした調査を次年度に持ち越したため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、部活動・サークル集団を対象にした調査研究を実施するとともに、実験の準備を行う予定である。 また、前年度までに得られた研究成果を国内外の学会で発表するとともに、関連研究の成果を論文にまとめて国際誌に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験実施の準備を行い、部活動・サークル集団を対象とした調査を行うため、謝金を必要とする。実験に必要な機材を購入予定である。また、得られたデータをもとに執筆する論文を国際誌に投稿するために、英文校閲費や論文執筆のために必要な書籍代、文房具代、印刷関連費用が必要である。 昨年度までに得られたデータをもとにした成果を国内外の学会で発表するため、旅費ならびに学会大会参加費用、申込みのための通信費を計上する。 なお、所属機関の平成24年度予算手続き締切時期との兼ね合いで、ゼミ集団を対象とした調査の謝金が平成24年度予算分から引き落とせなかったため、この謝金を平成25年度分から執行する。
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Research Products
(1 results)