2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730519
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Research Institution | Tokai Gakuin University |
Principal Investigator |
吉田 琢哉 東海学院大学, 人間関係学部, 准教授 (70582790)
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Keywords | 葛藤 / 関係性目標 / 統合的合意 / 制御焦点 |
Research Abstract |
本研究は、意見や価値観の対立する葛藤事態において、統合的合意に至る心理的プロセスを明らかにすることを目的としている。本年度は、対人場面での葛藤について、関係目標の活性化に焦点を当てた検討を行った。 昨年度の調査において整備された、関係の継続の志向性と目標への接近性の2次元からなる関係目標尺度を用いて、回想法により愛着スタイル、葛藤対処スタイルとの関連を検討した。その結果、愛着スタイルのうち「親密性の回避」が「関係解消目標」を媒介して「主張方略」に影響を及ぼすことが明らかとなった。一方、愛着スタイルの「見捨てられ不安」は「関係深化目標」を媒介して「回避方略」に影響を及ぼしていた。次の調査では、相手の選択した対処方略の影響を統制した上で、制御焦点が関係目標を媒介して対処方略およびその効果に与える影響について検討した。制御焦点のうち「促進焦点」は、「関係志向目標」および「協調方略」を介して効果的な対処の認知に正の影響を及ぼすことが確認された。ただし、本研究では関係目標が接近―回避の軸では弁別されず,関係志向目標と関係非志向目標の2種に弁別されるのみであった。本研究で対象とした恋愛関係という対人的文脈においては、二者の関係にとっての利益の獲得と不利益の回避とは表裏一体のものとして認識されてしまうと推察された。 一連の結果より、関係目標の2つの側面の特徴について明らかとなった。一連の研究で得られた知見を踏まえ、26年度は討議場面での統合的合意に至るプロセスを実験的に検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
意見や価値観の対立する葛藤事態において、統合的合意に至る心理的プロセスを明らかにするとの当初の目的に照らし、本年度の研究で焦点を当てた「関係目標」の影響が確認され、一定の成果を収めることができた。以上のことから、達成度について「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は討議場面での統合的合意に至るプロセスを実験的に検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
校務の関係から予定していた学会への参加を見合わせたため、当初の計画と比べて旅費の費用が減じたため。 25年度に見合わせた分の学会参加費に充てる計画である。
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