2012 Fiscal Year Research-status Report
対人コミュニケーションの日本・中国間比較に関する実験研究
Project/Area Number |
24730525
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
木村 昌紀 神戸女学院大学, 人間科学部, 講師 (30467500)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 対人コミュニケーション / 日本人 / 中国人 / 自己呈示 / 非言語行動 / パーソナル・スペース / 関係性 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は、初対面場面の対人コミュニケーションを日本人と中国人で比較して、両者の共通点と相違点を明確化することであった。 日本人は未知関係の女性20組40名(平均年齢19.20歳, 標準偏差0.99歳)が参加した。中国人は未知関係の女性20組40名(平均年齢20.50歳, 標準偏差0.72歳)が参加した。話題条件は、キャンパス・ライフについて3分間自由に話す「親密話題」条件と、社会的問題を3分間議論して結論を出す「討論話題」条件の2つがあった。会話の様子はVTRで撮影した。会話終了後に質問項目(自己呈示動機、対人コミュニケーション認知)に回答を求めた。最後にディブリーフィングを行い, 終了した。撮影した会話の音声映像を見ながら訓練を受けたコーダーが、笑顔・発話・うなずき・視線の生起時間を定量化した。 自己呈示動機に関して、日本人も中国人も、親密話題では外見的魅力と個人的親しみやすさを、討論話題では有能さと社会的望ましさをアピールしていた。相違点は、中国人に比べて日本人は外見的魅力をよりアピールしていた。 コミュニケーション行動に関して、日本人も中国人も討論話題よりも親密話題で発話が多かった。相違点は、全般的に日本人は中国人に比べてうなずきが多かった。また、 日本人はうなずく量を話題に応じ変えていたが、中国人は一貫してうなずきが少なかった。加えて, パーソナル・スペースの日中差から, 初対面でも日本人の快適距離は中国人に疎外感を生じさせ, 中国人の快適距離は日本人に圧迫感を生じさせる恐れがある。 コミュニケーション認知に関して、日本人も中国人も、討論話題より親密話題のコミュニケーションをポジティブに認知していた。相違点として、日本人よりも中国人のほうがポジティブなコミュニケーション認知であったことが挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画は、おおむね順調に進展しているといえる。 当初の研究計画では、研究1「初対面場面の対人コミュニケーションに関する日本・中国間比較」と研究2「関係の進展に伴う対人コミュニケーションの変化に関する日本・中国間比較」が予定されていた。 本年度は、主に、初対面場面(未知関係)の対人コミュニケーションに関する日本・中国間比較を行った。そのうち、自己呈示動機に関する研究結果は、日本心理学会第76回大会で発表した。また、コミュニケーション行動(笑顔・視線・うなずき・発話・パーソナルスペース)と対人コミュニケーション認知に関する研究結果は、日本社会心理学会第53回大会で発表を行った。 そこから、既にデータを取得済みの友人関係と合わせて、関係の進展に伴う対人コミュニケーションの変化に関する日本・中国間比較の分析にも着手している。ただし、追加分析の余地があり、考察のためにはしばらくの時間を要する。この分析結果については、次年度の学会で発表を予定している。 このような研究計画の進展状況から、おおむね当初の予定通りであると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに実施した友人関係、未知関係の対人コミュニケーションに関する日本・中国間比較の研究成果を論文化して、学術雑誌に投稿する予定である。 また、これまで分析できていなかった発話内容について、文字起こしデータを用いて分析する。言語的コミュニケーションの特徴に関する日本・中国間比較を行う。 そして、関係の進展に伴う対人コミュニケーションの変化に関する日本・中国間比較の分析結果については、学会発表を予定している。 さらに、これまでは協調的なコミュニケーションに関する日本・中国間比較を行ってきたが、次年度は非協調的なコミュニケーションを対象にして検討する。具体的には、実験的に葛藤場面を設定して、そこでの葛藤コミュニケーションに関する日本・中国間比較を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画は以下のとおりである。 まず、これまでの研究成果について、国内外の学会で発表を予定している。その際の学会参加費及び旅費に研究費を使用する。また、学術雑誌に論文を投稿する際の英文校閲にも費用を要する。 加えて、発話内容を文字起こししたデータを用いて、言語的コミュニケーションの日本・中国間比較を行う際に、研究補助者への謝金が必要になる。複数名の研究補助者に、発話内容を幾つかの観点から評定してもらう。 そして、葛藤コミュニケーションに関する日本・中国間比較を行うにあたり、日本での実験参加者への謝金、中国での実験参加者への謝金、研究実施場所借り上げ料、中国への渡航費用が発生する。実験実施後は、複数名の研究補助者に、コミュニケーション行動のコーディングを依頼する。
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Research Products
(5 results)