2014 Fiscal Year Research-status Report
対人コミュニケーションの日本・中国間比較に関する実験研究
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24730525
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
木村 昌紀 神戸女学院大学, 人間科学部, 講師 (30467500)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 対人コミュニケーション / 対人関係 / 文化比較 / 日本 / 中国 / 非言語行動 / 自己呈示 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画全体の前半部分となる、前年度までは、協調的なコミュニケーション(協調的で情緒志向的な「親密話題」・協調的で課題志向的な「討論話題」)に関する日本・中国間比較を行っていた。対して、計画全体の後半部分となる、本年度以降の研究目的は、非協調的なコミュニケーションの日中比較を行うことである。具体的には、非協調的で情緒志向的な「葛藤話題」と、非協調的で課題志向的な「競争話題」を取り上げた。 本年度は、非協調的なコミュニケーション実験を中国の遼寧省大連で実施した。実験参加者は、中国人女性大学生40組80名であった(未知関係20組40名、友人関係20組40名)。「葛藤話題」条件と「競争話題」条件はカウンターバランスをとり、両条件に参加するよう求めた。「葛藤話題」では行動的役割演技法を用いて葛藤状況を実験的に作り出した。「競争話題」では社会的な問題について賛成・反対の立場に分かれて議論し、相手を論破するように求めた。会話の様子はビデオカメラで撮影した。会話の前後には、質問項目に回答するように求めた。質問項目には、対人コミュニケーション認知や、感情状態、葛藤認知などが含まれていた。最後に、ディブリーフィングを行い、実験参加謝礼を渡して実験を終了した。 現在は、中国で実施した非協調的なコミュニケーション実験を分析している。質問紙データは入力が終わり、コミュニケーション行動については、撮影した音声映像のコーディング作業を進めている。最終年度である次年度に日本でも非協調的なコミュニケーション実験を行い、合わせて比較する予定である。 また本年度は、これまでに実施した協調的なコミュニケーションの日中比較の発話内容の解析を行っている。発話内容を文字起こしして、評定者2名によって発話特徴を評定してもらった。この評定結果を用いて、協調的な言語コミュニケーションの日本・中国比較の分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、研究計画の後半にあたる、非協調的なコミュニケーションの日本・中国間比較に着手した。具体的には、中国で非協調的なコミュニケーション実験を実施した。現在は、その実験結果の解析を進めている。日本での実験を実施するまでは至らず、次年度の課題となった。 また、前半部分の協調的なコミュニケーションの日本・中国間比較については、成果の一部をSociety for Personality and Social Psychology 16th annual conventionやPreconference workshopで発表した。加えて、研究成果について現在論文を執筆しており、次年度前半中には学会誌に投稿を予定している。 さらに、協調的なコミュニケーションの日本・中国間比較について、発話内容を文字起こししたものをもとに、言語コミュニケーションの日中比較の分析を行っている。その結果は次年度の学会で発表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、研究計画の最終年度となる。 まず、非協調的コミュニケーション実験を日本でも実施して、今年度に実施済みである中国での実験データと合わせて比較する。この結果も次年度中に学会発表したいと考えている。 次に、協調的なコミュニケーションの日本・中国間比較については、執筆中の論文を早急に完成させ、学会誌へ投稿する。さらに論文化できていない実験結果の論文化も進める。 そして、言語コミュニケーションの分析についても学会で発表を予定している。 最後に、研究計画全体の結果を踏まえて、日本人と中国人の異文化コミュニケーションを円滑に進めるための方法を提案したい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、日本で実施する予定であった非協調的コミュニケーション実験が実施までに至らなかったためである。日本での実験を実施する際、実験参加者への謝礼金を支払う必要がある。また、会話中の音声映像からコミュニケーション行動の定量化を行うために、コーダー(実験協力者)への謝金も必要となる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、できるだけ早い段階で日本での非協調的コミュニケーション実験を実施する予定である。その際、実験参加者に謝金を支払う。その後、撮影した会話の音声映像からコーディングを行うので、実験協力者であるコーダーに謝金を支払う。以上のような使用を計画している。
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Research Products
(8 results)