2013 Fiscal Year Annual Research Report
頻度依存傾向の進化:集団間葛藤のブースター効果の検討
Project/Area Number |
24730527
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
横田 晋大 広島修道大学, 人文学部, 准教授 (80553031)
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Keywords | 集団間葛藤 / 社会的影響 |
Research Abstract |
本研究は、集団間葛藤状況による人の同調傾向の促進効果を検討することが目的である。横田・中西 (2012) は、集団間葛藤が激化するほど、集団内の多数派に同調する傾向が促進されるとの仮説を提唱し、進化シミュレーションによる思考実験をもって、その妥当性を証明した。本研究は、横田・中西の概念的追試であり、仮説の外的妥当性を検証するものであった。 その成果として、まずシナリオ実験を実施した。実験では、場面想定法により日常生活に見られる集団間葛藤状況のシナリオを読ませ、その場でいかなる行動を取ると思うかを参加者に尋ねた。その際、敗北するコストの大小により、葛藤の程度が弱い条件と強い条件を設定した。その結果、仮説と一貫して、集団間葛藤が弱い条件よりも強い条件で、多数派同調傾向が強まることが示された。この成果は論文化され、現在、投稿準備中である。 また、他にも実験室内で行動実験を実施した経験より、集団間葛藤時における少数派同調 (集団内の少数派に同調する傾向) の重要性を見出し、集団間葛藤時における少数派同調傾向の進化シミュレーションを実施した。その結果、葛藤が非常に弱いあるいは存在しない状況では少数派同調は進化するが、葛藤が非常に強い状況では、むしろ適応度を下げるとの結果を見出した。 更に、行動実験を実施するため、実験プログラムの開発を行った。㈱VERSIONII (札幌市) に委託し、社会的ジレンマゲームをwebベースで実施することが可能なプログラム「どこレンマ」を完成させた。どこレンマでは、1ゲームあたり2~10名が参加でき、複数の集団を構成し、各集団内で社会的ジレンマゲームを実施することができる。そして、集団間に葛藤状況を導入できる。各参加者の行動は逐一データ化されるため、行動の変化などを分析することが可能である。シミュレーションそして実験プログラムの成果は、諸学会で発表された。
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Research Products
(13 results)