2012 Fiscal Year Research-status Report
学童期からの脳機能の発達と介入の影響:注意・集中に関わる神経基盤
Project/Area Number |
24730531
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
齋藤 大輔 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特命准教授 (30390701)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 認知機能 / 注意 / 抑制 / 運動 |
Research Abstract |
教育現場で近年問題とされている学級崩壊や学力低下に対して、それらを引き起こす様々な要因が考えられており、前頭葉機能の関与が指摘されているが、それら脳機能の発達過程についてや問題行動に関与する脳機能について不明な点が多い。そのため、脳機能イメージング法や介入作業を用いて、学童期児童から成人までの注意・集中能力に関する発達と、その能力を向上させる作業を脳科学の見地から明らかにし、実際の教育現場へ成果を還元することが、本研究の目的である。 脳機能への効果がみられる介入作業として、読書をすると授業に落ち着いて集中できる(渡邉・寺沢2009)ことや、”運動”と”コミュニケーション”が必要な集団運動遊びは、前頭葉機能の活発型を示す児童の比率を上げるという報告がある。このことにより、集団運動遊び(しっぽとり、S けん等)をすることで、キレる・集中できないといった現在の小学校現場が抱える問題に対する解決の可能性が期待されており(渡邉・寺沢2010)、どういった行動(遊び等)が、どのように行動に影響を与えるかを明らかにすることで、効果的な介入作業は何かを示すことが出来るようになる。 そこで、いくつかの介入課題の候補となる作業課題(遊び等)の選定を行った。その際、単独で行う作業よりも、運動とコミュニケーションの交互作用に効果がある仮説を立て、その違いをGo-Nogo課題や注意力課題(Attentional Network Test)を行なって検証・選定した。まず、成人において、安静・音読・裁縫・バランスボール・ダーツ・折り紙、また、”運動”と”コミュニケーション”の交互作用課題(読書、Sけん・かぶ、1人遊び・陸上練習、話合い活動)などを設定し実験を行った。裁縫が注意力課題の成績に影響を与えることが明らかになり、今後交互作用の影響を調べることで、作業のどういった側面が効果を示すのか明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
注意・集中に関する介入の効果を調べる行動実験を行っており、そのなかで、介入の効果が期待されるいくつかの課題を選定し、その影響を調査している。 その介入課題として、安静(コントロール)・音読・裁縫・バランスボール・ダーツ・折り紙・読書、Sけん・かぶ、1人遊び・陸上練習、話合い活動を介入の効果が期待される課題として想定している。また、それらの介入の効果を、Go-Nogo課題や注意力課題(Attentional Network Test)を行なって検証し、選定を行っている。 しかし、これまで、実験刺激の作成や実験デザインを設定し、いくつかの計測は行っているが、まだまだ被験者数が少なく、一定の傾向を得られていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に始めた、介入効果を図る課題の計測をすすめる。そして、被験者数を増やすことで一定の結果を得ることを目指す。また、小学生から大学生までの被験者で介入課題の効果の違いを確認し、それぞれの学年で得られる効果が同じものなのか異なるものなのかの確認も行う。 さらに、今年度はこれまで得られた介入課題の行動学的結果をfMRIを用いて、どういった脳機能の変化と介入が関連しているかを調査する。その際に、MRI実験用にデザインされた認知課題や介入課題を用い、脳活動・脳容積・脳神経の走行について評価を行ためのパイロット実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在、介入課題の効果を調べる認知課題を行っている刺激提示PCでは、一度に計測できる人数が少なく一人だけである。そのため、データ取得に時間が掛かることで、効率的に効果のある介入を選定する作業がこなせていない。そこで、より多くの被験者を同時に計測できるようなシステムを構築するために、新しい計測装置を設計・選定し、購入する予定であり、これにH24年度の残余金を充当する予定である。そのシステムでは、一度に6人の計測が可能であり、今年度は実験条件や被験者数もさらに増やして計測を行っていく予定である。
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