2012 Fiscal Year Research-status Report
幼児期の自己内対話にイマジナリーコンパニオンが果たす役割に関する発達的検討
Project/Area Number |
24730532
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
塚越 奈美 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60523701)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 スイス / イマジナリーコンパニオン / 移行対象 / 自己内対話 |
Research Abstract |
幼稚園児の保護者と小学校入学前の児童養護施設入所児の担当職員を対象に、郵送にて質問紙調査を実施した。これは、幼児期のイマジナリーコンパニオンの実態を把握するとともに、イマジナリーコンパニオンを有する子どもに共通する特徴について調べるためであった。具体的には、齊藤・向井・佐伯(2012)が作成したファンタジー行動を測定する尺度を参考に、移行対象やイマジナリーコンパニオンとのかかわり、TVアニメのヒーローになりきって遊ぶかなどについて、4件法を用いて回答を求めた。また、自由記述では、それらに関する子どもの行動で印象に残っている出来事などについて報告を求めた。 また、イマジナリーコンパニオンと自己内対話の関係性を検討するために、幼稚園児の行動観察をおこなった。まず、協力園の全年齢の園児の様子を観察した後、幼稚園教諭に園児の様子について聞き取り調査し、それにもとづいてファンタジー傾向があると判断された対象児をあらかじめ選定して継続的に観察をおこなった。対象児は年少児であるため、次年度以降も引き続き行動観察を行うことで、幼稚園という生活場面でファンタジー傾向を有する幼児がどのように変化していくのかを記録・分析する予定である。 研究発表としては、イマジナリーコンパニオンや自己内対話の問題とも関連のある「秘密」や「葛藤場面」に関する実験・観察について、学会発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画に追加して、幼児期のイマジナリーコンパニオンに関する実態調査を行った。このため1年目に実施する予定であった大人を対象としたインタビュー調査が実施できなかった。しかし、その分インタビュー調査のための丁寧な事前準備ができたため、研究内容は充実したと考える。 観察については、2年次以降に行動観察を続けていくための十分な準備・観察を実施できた。総じておおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
幼児期のイマジナリーコンパニオンと自己内対話との関連性について検討するために、初年度に観察した対象児の行動観察を引き続き行う。 また、イマジナリーコンパニオンが果たす役割について詳細に検討するために、初年度に実施した実態調査の結果をもとに、イマジナリーコンパニオンを有した経験のある大人を対象としたインタビューを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度の質問紙調査および行動観察の結果を学会発表するための旅費を必要とする。 また、インタビュー調査協力者に対する謝金と、行動観察に必要な備品・消耗品を購入する。イマジナリーコンパニオンに関する図書も考察を深めるために購入する。 24年度は予定していたISSBD(カナダ)に体調不良のため出席することができなかった。このため次年度使用額は、25年度に発表が確定しているECDP(スイス)に出席する準備・旅費にあてる予定である。
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