2013 Fiscal Year Research-status Report
幼児期の自己内対話にイマジナリーコンパニオンが果たす役割に関する発達的検討
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24730532
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
塚越 奈美 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (60523701)
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Keywords | 国際情報交換 スイス / イマジナリーコンパニオン / 自己内対話 / 移行対象 |
Research Abstract |
平成25年度に、幼稚園児の保護者と小学校入学前の児童養護施設入所児の担当職員を対象に、郵送による質問紙調査を実施した。内容はファンタジー傾向(先行研究では移行対象、イマジナリーコンパニオン、ヒーロー空想という3つの因子から構成される)と考えられる行動がどの程度みられるかについてである。この内容のうち、幼稚園児と児童養護施設入所児でファンタジー傾向の因子構造に違いが見られるかと、移行対象、イマジナリーコンパニオン、ヒーロー空想などの各質問項目の出現率に違いが見られるかを分析した結果を学会にて発表した。1つはヨーロッパ発達心理学会(スイス、ローザンヌ大学)、もう1つは日本発達心理学会(京都大学)である。 また、イマジナリーコンパニオンや自己内対話と関連が深いと考えられる、幼児期の子どもの直感的思考と論理的思考の共存についての研究にも取り組んだ。特に、話し合い過程に見られる、直観的思考と論理的思考の間で揺れ動く子どもの個人内・個人間の変化に着目した。イマジナリーコンパニオンや自己内対話にかかわりの深い直感的思考部分の分析を担当、執筆した。論文としては、山梨大学教育人間科学部附属教育実践総合センター紀要にまとめた。また、日本心理学会(札幌コンベンションセンター)では2本の学会発表をおこなった。 前年度に決定したファンタジー傾向を強く有する幼児(幼稚園年中男児1名、女児1名)の観察を継続した。次年度もこの幼児に関する観察研究を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
4本の学会発表、1本の論文執筆、ならびに継続観察を実施した点では順調と言える。しかし、観察記録を論文にまとめることと、イマジナリーコンパニオンを有していた大人を対象としたインタビュー研究については、進行が遅れている。最終年度にはこれらについても目標を達成できるように進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
幼児期のイマジナリーコンパニオンと自己内対話との関連性について検討するために、24年度と25年度に観察した対象児(26年度は年長児になる)の行動観察を引き続き行う。 また、イマジナリーコンパニオンが果たす役割について詳細に検討するために、イマジナリーコンパニオンを有した経験のある大人を対象としたインタビュー調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
過去にイマジナリーコンパニオンを有した大人を対象としたインタビュー調査の実施が遅れているため、主にそれにかかわる諸費用が残額となった。 インタビュー調査に必要なICレコーダーや分析ソフト、ならび謝金に使用する。
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Research Products
(6 results)