2013 Fiscal Year Research-status Report
学級の社会的目標構造が児童の学習動機づけおよび学校適応の促進に及ぼす効果
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24730536
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大谷 和大 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (20609680)
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Keywords | 社会性 / 動機づけ / 小学生 / 学級環境 |
Research Abstract |
本研究では、小学校高学年の学級で強調される社会的な目標について調べ、それらを測定する尺度を作成することを目的とした。まず小学校高学年の学級で強調される社会的な目標について調べるため、高学年の指導経験のある教員20名を対象に、「児童に身に付けさせたい社会性にはどのようなものがあるか」、そして、「それらを身につけさせるために、どのような指導、声掛けを行うか」について自由記述による調査を実施した。最終的に15名から合計59の記述が得られ、KJ法により、カテゴリに分類した。結果、最も多かった目標は、友だちを助ける、共感性、他者を尊重することなど、「向社会性(36%)」に関するものであった。次に多かった目標は、ルールや規範、礼儀を守ることなど、「規範遵守(24%)」に関するものであった。また、声かけについては、接近的な声かけ、回避的な声かけをする事例が見られた。これらの目標を接近・回避の次元から捉え、「向社会・接近目標」、「向社会・回避目標」、「規範遵守・接近目標」、「規範遵守・回避目標」に分類した。 学級の社会的目標構造を測定する尺度を開発するために、小学生約270名を対象に質問紙を配布した。社会的目標構造は、それぞれの目標構造ごとに7項目、計28項目を作成した。並存的妥当性を測定するため、学級環境を測定すると考えられる「学級風土」、「学級の目標構造」の尺度についても回答を求めた。因子分析(最尤法・プロマックス回転)を行った結果、最終的に第1因子は向社会的目標構造に関する内容、第2因子は規範遵守目標構造に関する内容となった。これらの尺度と、既存の学級風土の尺度、および学級の目標構造の相関係数を算出したところ、低~中程度の有意な正の相関が確認された。この結果、本研究で作成された尺度が、一定の妥当性を有することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
尺度作成において、自由記述調査を行い、さらに尺度の信頼性と妥当性を検討する調査も実施するなど、尺度の作成を丁寧に行ったため、2013年度中に大規模調査をすることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、大規模な質問紙調査を行い、社会的目標構造が児童の学習意欲、社会的コンピテンスなどの学校適応に及ぼす影響プロセスを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
日本発達心理学会25回大会参加の旅費としての申請を希望していたが、予算を申請すると微額の予算超過となったので申請を断念したため。 6月~7月にかけて、小学生2000名を対象とした大規模質問紙調査を行う。それに関わる物品費や人件費、学会発表費としての使用を予定している。
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