2013 Fiscal Year Research-status Report
状況に応じた欺きと道徳判断の発達に関する心理学的研究
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24730537
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
林 創 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (80437178)
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Keywords | 認知発達 / うそ / 幼児期 / 児童期 |
Research Abstract |
本研究は,子どもを対象に「状況に応じた欺きと道徳判断」に着目し,その発達過程を「心の理論」と関連づけながら,個別実験による実証的方法で解き明かすことを目的とするものである。平成25年度は,幼児期と児童期の子どもを対象にした研究から,以下の2つのことを検討することができた。 第1に,幼児期の子どもを対象に実施した「状況に応じた欺き」が求められる研究の再分析を行った。また,これまでに実施した児童期の子どもが対象の「悪意のないうそ」の理解の調査について,大人に実施したデータを新たに加えて,分析を行った。その結果,小学校低学年では,悪意のないうその理解がまだ困難であるものの,中学年頃からネガティブな感情を抑えて,偽りのポジティブな発話を選ぶという回答をする割合が増大した。また,高学年と大人では,すべての課題において,状況に応じて選ぶ発話を柔軟に選択する様子が明らかになった。以上に加えて,二次の心の理論課題と悪意のないうその理解との間に関連が見られ,心の理論の発達の大切さが明らかになった。 第2に,上記の研究をさらに発展させるために,児童期の偽りの感情表出の理解に着目した調査を行う課題について,大人を対象に複数回の予備的調査を行った。これらの予備調査により,表出される感情の強度や文脈の影響,選択肢の妥当性などを多面的に確認でき,問題点については改善することができた。以上により,今後の児童期を対象とする研究の基盤を固めることができた。また,二次の心の理論課題についても同様に,児童期の子どもに実施するために課題を洗練させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた状況に応じた欺きの発達について,幼児期と児童期を対象にデータの分析が進み,論文を投稿することができたことから,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
「おおむね順調に進展している」と判断されたものの,今後も欺きや道徳的判断の発達について,引き続き調査をすることで,子どもの社会性の認知発達の豊かさについて,さらに明らかにしていきたいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ入力を自分自身で行ったことなどで今年度は謝金の支出が不要になったことなどから,次年度使用額が生じた。 研究を遂行する上で必要となる物品や書籍の購入に使用する。また,研究成果の発表に要する旅費としても使用する。さらに,実験課題の作成や実験データの入力の補助者に対して謝金が必要となる他,得られた結果を英語の学術論文にまとめる際や国際学会での発表に備えるために,英文校閲業者に英文をチェックしていただくための謝金としても使用する見込みである。
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Research Products
(7 results)