2015 Fiscal Year Research-status Report
2歳児の表象機能の発達及び自己の様相に関する発達モデルの構築
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24730541
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
瀬野 由衣 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (10610610)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 2歳児 / 表象 / 自己 / 自他関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、2歳児の表象機能の発達及び自己の様相に関する発達モデルを構築することである。これまでに実施した二つの観察研究(一児の事例研究と2歳児クラス集団を対象にした観察研究)を通して、モデル構築の方向性を①言語の使用を軸にして2歳代の認識世界および対他関係の特徴を整理すること、②集団あそび場面での仲間同士の関係性やあそび方の特徴を軸にして整理すること、とした。 これをふまえ、今年度は、上記①に関わる母子相互作用場面における一児の観察事例の解釈を進め、論文としてまとめた。具体的には、1歳10ヶ月から2歳半に至る過程で、母子のあそびの中でどのような共有テーマが立ち上げられているのか、そのテーマが成立する背後にある児の認識世界の特徴について月齢ごとの特徴を考察した。その結果、主にわかったことは、2歳半前後に、自分が体験した出来事に対する自己関与的態度を言語で表明するという事実である。この結果から、2歳半を「自分の視点で出来事に向きあう主体(自己)が形成される出発点となる年齢」として考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、一児の事例研究を論文としてまとめたと同時に、2歳児クラスのあそび場面の観察をすすめ、前半期のデータのカテゴリ分類を行った。この結果は、平成28年4月に開催される日本発達心理学会(北海道大学)で発表する予定である。2歳児クラスの観察結果から、3歳前後の自己の発達を考えるうえで言語が果たす役割が重要であることが、示唆されている。この結果を、来年度中には、学術論文としてまとめていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、2歳児クラスを対象にした研究結果を広く発信し、様々な意見や助言等をふまえて、学術論文としてまとめていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
育児休業を取得し、予定していた国際学会等での発表が困難になる等、当初の計画とは異なる使用計画となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年の4月に北海道大学で開催される日本発達心理学会での発表旅費や論文作成に必要な書籍等の入手のために主に使用したいと考えている。
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Research Products
(2 results)