2013 Fiscal Year Research-status Report
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24730543
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
河野 理恵 目白大学, 人間学部, 准教授 (40383327)
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Keywords | 高齢者 / 記憶モニタリング / 記憶課題 |
Research Abstract |
本研究は、高齢者における記憶能力のモニタリングに関する研究を主軸としている。そのうち、平成25年度は、高齢者が記憶しなくてはならない様々な事柄に対して、自分の記憶をどのように評価するのか、その評価の根拠となっていることは何かということを明らかにすることを目的とした。 調査では、高齢者大学に通う高齢者30名(男性15名、女性15名、平均年齢68.2歳)に質問紙を実施した。その後、各評価に対する理由の詳細を知るために、聞き取り調査を約30分程度行った。 調査項目は、調査対象者に関するフェースシート、様々な記憶課題に対する自己評価、日常生活での記憶の失敗経験、病気に対する考え方、社会的活動状況などで構成した。 結果として、「自分の好きなこと」「自分が覚えたいと意欲をもったこと」などの事柄に対して、ほとんどの高齢者が「よく覚えることができる」と評価をしていた。その一方、「若い人が使う言葉」「人の名前」などについて、ほとんどの高齢者が「あまり覚えられない」、「ほとんど覚えられない」と評価をしていた。このような高齢者の評価の根拠を明らかにするために、聞き取り調査の分析を行った。その結果、「自分の好きなこと」や「自分が覚えたいと意欲をもったこと」については、“日常生活で好きなことは覚えられている(例えば歌詞、歴史内容など)”“毎日、他のことはしないけど、それだけをしている”との理由が得られた。一方、「人の名前」については、“人の顔はわかるけど、名前が分からない”“名前は覚える気がない”などの理由が得られた。 これらの結果から、高齢者は様々な課題に関する自己の記憶の自己評価を行うというモニタリングは、自己の日常生活の成功経験、あるいは失敗経験に基づいて行われているのではないかと考えられる。今後、さらに詳細な分析を行い、記憶能力のモニタリングと記憶課題の関係を明確にしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究状況は、おおむね計画通りであると言える。 高齢者における記憶能力のモニタリングと記憶課題に関する検討として、質問紙調査と聞き取り調査を予定していた。質問紙調査だけでは、高齢者の記憶に対する自己評価の理由を明確に把握することが不十分だと考えたためである。平成25年度の研究においては、高齢者に対して、質問紙調査と聞き取り調査を実施することができ、データの収集が計画通りであったと言える。また、質問紙において様々な記憶課題を設定し、多岐にわたる記憶課題に対する高齢者の記憶に対する自己評価という記憶モニタリングデータを収集できたと考える。他方、高齢者に対する質問紙での回答をもとに、聞き取り調査を行ったことにより、高齢者の記憶モニタリングの根拠を的確に、もらすことなく得られ、記憶能力のモニタリングと日常生活の関係性を指摘することができた。 しかし、日常生活での記憶の失敗経験の質問項目や病気に対する考え方との詳細な検討はこれから行う予定であり、現在、分析を実施中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、平成25年度の調査で得られたデータを詳細に分析中であり、研究全体を円滑に進めていくためには、この結果を正確に把握することが最優先課題であると認識している。そのため、平成26年度は、平成25年度の調査で得られたデータを詳細に把握することを最初の目的とする。また、平成24年度に得られた結果との関連の検討も試み、まとまりのある研究の構築を目指していく。 その後、平成26年度の当初の目的であった「高齢者における記憶能力のモニタリングが想起された量的、質的両側面に及ぼす影響の分析」を行う予定である。この研究では、実際に様々な記憶課題に対する評価と記憶実験を行うことにより、高齢者特有の記憶能力のモニタリングの特徴を明らかにできると考える。 この研究成果は平成24年度と平成25年度の知見と合わせて、広範囲な高齢者の記憶能力のモニタリングの理解へとつながるとともに、高齢者の生涯学習のサポートへの一助となるとも考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究データ分析のためにパソコンと分析ソフトSPSSを平成25年度に購入予定であった。しかし、最新のバージョンを購入したいと思ったため、平成26年度にその資金がプールされている状況である。 また、当初予定していた研究参加者である高齢者への謝礼金を辞退されたてしまったため、翌年度へその分の金額が繰り越された形である。 まず、研究の実施のため、質問紙を作成するために紙やステープラーなどの文房具とともに、印刷、複写費なども必要である。また、本研究は社会人として生活している高齢者の方のお時間をいただくことから、研究協力費としての謝金なども想定している。これに関して、高齢者の方が研究に安全に協力していただくことを念頭におくため、面接控室に1人の調査補助員を配置する予定であり、その方への報酬も必要であると考える。さらに、平成25年度と平成26年度の研究で得られた研究データを多角的に分析するために、パソコンと分析ソフトであるSPSSの最新版の購入を予定している。そして、研究の最終年度ということもあり、研究成果を発表するための学会参加費、旅費、論文を投稿する費用なども必要である。加えて、高齢者に対するさらなる見識を深めるために、高齢者に関する研修会などに参加する費用なども予定している。
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