2015 Fiscal Year Annual Research Report
擬似的な適応という視点による幼児期の「いい子」の再考
Project/Area Number |
24730552
|
Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
西元 直美 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 准教授 (50390117)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 擬適応 / 気質 / 完全主義 / 唾液中αアミラーゼ / 幼稚園児 / 縦断データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、一見適応的であるが保育者から「“いい子”だけれど気になる」と認識される状態を擬似的な適応と捉え『擬適応』と呼び、「擬適応」という視点から「いい子」について考察することを目的として、幼稚園入園から卒園までの縦断データを用いた検討を行うものであった。 平成24年度に幼稚園への新入園児である年少組(3歳児クラス)の幼児を対象に平成24~26年度までの3年間にわたり、「気質(CBQ Short Form)」「幼児用完全主義尺度」「擬適応行動項目(改訂版)」の質問紙調査およびストレスの生理指標として「唾液中αアミラーゼ活性」の測定を行った(「幼児用完全主義尺度」「擬適応行動項目(改訂版)」については平成24年度の年中組年長組(4歳児、5歳児クラス)を対象に予備調査を行った)。 上述の縦断データを用いて、1)擬適応行動とストレス状態との関係の検討、2)幼児期(幼稚園3年間)の気質の変容および擬適応行動との力動的関係の検討、3)幼児期における完全主義を測定する尺度の作成、基礎データの収集および擬適応行動との関係の検討を行った。1)については、ネガティブな感情を抑制することとストレスの高さとの関係が示された。2)のうち気質については、「制御性」因子、「積極的活動性」因子について3歳から4歳にかけて変化することが示されたが、「否定的情動性」因子には変化がみられなかった。また、擬適応行動の総合得点についての年齢差はみられなかった。3)については、予備調査から3因子構造が確認され「こだわり・心配」「完全願望」「高目標設定」と命名し発達的変化を検討したところ、「こだわり・心配」因子は徐々に上昇し、「高目標設定」因子は3歳から4歳にかけて顕著に上昇するが、「完全願望」因子については発達的変化がみられなかった。完全願望」因子については擬適応行動との関連がどの年齢においてもみられた。
|
Research Products
(3 results)