2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730553
|
Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
大西 彩子 甲南大学, 文学部, 講師 (40572285)
|
Project Period (FY) |
2013-02-01 – 2016-03-31
|
Keywords | いじめ / 高校生 / 認知の歪み / 選択的道徳不活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、反社会的行動を行う際に罪悪感などのネガティブな感情を抑制する認知の歪みのメカニズムとしてBandura (1990, 2002)が提唱した Sellective Moral Disengagement (選択的道徳不活性化)との関連が青少年の攻撃行動やいじめ行動を理解する上で注目されている(Gini, Pozzoli, & Bussey, 2014)。 本研究では認知の歪みの修正という観点からのいじめ防止対策について検討するため,一般的な反社会的行動に関する選択的道徳不活性化(SMD)といじめに関する選択的道徳不活性化(SMDB)に着目し、それらがいじめの傍観経験、制止経験、加害経験、被害経験とどのように関連するのかを明らかにすることを目的とした。 調査は,公立定時制高校の1~4年生12クラス260名を対象とした。その結果,いじめの制止経験と生徒のSMD、SMDBは有意な関連が認められなかった。SMDと間接的いじめの加害経験と傍観経験については男子においては関連が認められず、女子では中程度の正の相関が認められた。SMDBは、男女共に低から中程度の正の相関が認められた。直接的・間接的いじめ被害経験とSMDとの関連は男子においては有意な関連が認められず、女子において低い正の相関が認められた。SMDBは男女共に低い正の相関が認められた。直接的いじめ加害行動は、SMDとSMDBにおいて男女共に低から中程度の正の相関が認められた。 いじめの加害および傍観行動と被害経験には、一般的な反社会的行動に関する認知の歪みであるSMDといじめの認知の歪みであるSMDBが関連していることが示された。
|