2012 Fiscal Year Research-status Report
保育士,幼稚園教師,小学校教師の視線移動と語りによる実践的思考の解明と熟達化
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24730554
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Mimasaka University |
Principal Investigator |
廣瀬 聡弥 美作大学, 生活科学部, 准教授 (40419461)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 実践的思考 / 熟達化 / 語り / 視線 / 保育・授業 / 発達心理学 / 保育者 / 小学校教員 |
Research Abstract |
本研究の目的は,保育所・幼稚園の保育者や小学校教員が保育・授業場面の映像刺激を視聴した際の視線移動と語りを併せて調べることにより,以下の4点について明らかにすることを目的としている。1)保育・授業場面の映像視聴時における視線移動パタンの解明,2)保育者・教員の語りと視線移動との関連,3)保育者が授業場面,あるいは小学校教員が保育場面の映像刺激を視聴した際の語りと視線移動,4)若手,中堅,熟練の保育者・教員を比較することによる実践的思考の熟達化。 平成24年度は観察対象となる保育や授業場面の映像刺激の収集を行い,予備観察として若手,中堅,熟練の教員それぞれ2名ずつに視聴してもらいながら映像刺激の調整を行った。 まず,研究協力者に映像刺激として視聴してもらうための保育や授業を選定する必要がある。本研究では,保育者や小学校教員の多くが経験していること,子どもと保育者・教員の直接的な関わりがより明確に現れること,若手から熟練の保育者・教員にとって様々な捉え方ができること,さらに保育所・幼稚園と小学校において類似した活動であり双方にとって連続的なイメージが持ちやすいことなどを考慮し,幼稚園と小学校において中堅の教員が行う造形表現と図画工作を観察対象となる保育・授業として選定した。そして,映像データを適度な長さに編集した。 次に,予備観察として各施設の保育室や教室あるいは大学の施設内で,保育者や教員に対して個別に調査を行った。ディスプレイに保育や授業の映像刺激を再生し,研究協力者に視聴しながら自由に発言してもらった。得られた映像刺激と発話データをもとに,学会発表の準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目的は,観察対象となる保育や授業場面の映像刺激の収集を行い,予備観察として若手,中堅,熟練の教員それぞれ2名ずつに視聴してもらいながら映像刺激の調整を行うことであった。映像刺激は画面を通して再生されるため,保育者や教員が見た場合,実際の保育・授業場面と比較して大きく情報が減っている可能性がある。また,研究者が撮影をする際に,研究者の視点で撮影されるため実践者が本来必要とする情報ではない可能性もある。しかし,既存の研究では映像刺激について詳細に述べられることが少ない。そこで,本研究では2台のビデオカメラを使用し,1台は教室全体を撮影できるように固定し,もう1台は研究者が手で持ち保育者や教師を中心に撮影を行った。それらの映像刺激を1つのディスプレイにおいて2画面で表示できるようにし,音声については左の映像は左から,右の映像は右から流れるようにパンポットした。 そして,若手,中堅,熟練の教員のそれぞれ2名ずつに視聴してもらい撮影条件の調整を行った。得られた言語データをもとに分析を行い熟達による傾向が見られ,刺激として最適であることが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は映像刺激をもとに研究協力者への調査を主として行う。そして,秋田 他(1991)を参考に,1)発話量と発話箇所,2)発話の各命題の内容分析,3)発言の関連性把握の有無の3観点から,保育者や教員の発話データのプロトコル分析を行う。併せて,視線移動のデータより,映像刺激と注視点の数,視線の移動回数等の関連について分析を行う。さらに,発話データと視線データの関連について分析を行う。 なお,平成25年度以降の研究成果を発表する学会は,日本心理学会,日本発達心理学会,日本教育心理学会,日本保育学会のうち2つ以上を予定し,それらの結果をまとめて学会誌に投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,主に旅費および人件費・謝金を計上している。旅費については,幼稚園や小学校へのデータ収集や学会発表のためである。また,人件費・謝金は学会誌投稿のための翻訳・校閲等を検討している。
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Research Products
(4 results)