2012 Fiscal Year Research-status Report
学習過程への心的要因の作用に関する学習者の認識に介入する教授学習プログラムの開発
Project/Area Number |
24730556
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
野上 俊一 中村学園大学, 教育学部, 講師 (30432826)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自己調整学習 / 認知行動療法 / 学習観 / メタ認知 / 学力向上 |
Research Abstract |
平成24年度は研究計画に基づき,(1)学習者の持つ認識と学習プランの内容との間にどのような関係があるのかを明らかにすること,(2)その認識を変える手法として認知行動療法や応用行動分析学の手法をいかに適用させて教授学習プログラムを開発するかを目的として研究を遂行した。 1.学習者が持つ心的状態と学習パフォーマンスに関する素朴理論について: 次年度以降の教授学習プログラム開発につなげるために学習者が持つ心的状態(飽き,疲れ,集中の程度,やる気の有無)と学習パフォーマンス(学習時間,学習の質,テスト結果)に関する素朴理論(メンタルモデル)を幼児,小学生,大学生を対象に実験と質問紙調査を実施した。その結果,小学生(低学年,高学年)と大学生では学習者の心的状態によって学習パフォーマンスが変わると回答した。この調査では心的状態のコントロール可能性に関する認識については検討していなかった為,第2回の調査では心的状態のコントロール可能性と知能の可変性を問う知能観に関する認識を含めて実施した。現在,分析中であるが心的状態のコントロール可能性の違いによって学習における問題への対処法に安定したパターンがあること明らかになることが予想されている。 2.認知行動療法および行動分析学の文献研究: 教授学習プログラムの対象者の認識を変化させるために本研究で採用する認知行動療法の最新の技法や臨床研究について文献研究を行った。また,行動を変える観点からの別アプローチとして行動分析学の知見に関しても文献研究を行った。 3.協力施設と協力校との関係強化: 次年度以降に実施する教授学習プログラムの実行を見据えて,協力施設(1つ)と協力校(2校)のニーズを満たす学術貢献を行い良好な関係の維持を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2回の調査を実施し,研究目的の1つである『「飽き」,「やる気」,「集中力」等の心的要因が「学習のパフォーマンス」に及ぼす影響過程に対する学習者の心的モデルの解明』を達成している。この研究結果に基づき教授学習プログラムのベータ版の開発を開始している。そのため,次年度の研究を円滑に開始することが可能になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究成果を踏まえ,教育プログラム(ベータ版)の開発を完了させ,その教育プログラムの実施と評価を行う。 学校の長期休暇に合わせて教育プログラムを実施する予定を踏まえて,それまでに研究計画通りにプログラムパッケージを準備する。パッケージ内容は(1)学習者の認識を正確に把握するためのツール,(2)認識を変容するための学習課題の開発およびチューターの働きかけの手引き,(3)学習者の認識を変化させるための課題,(4)学習者の認識が変化したことを把握するためのツール,であり,これらは最小構成要素である。 なお,教育プログラムの評価においては(1)と(4)の精度の高さが肝要であるため,平成24年度に実施した学習者の認識について調査を継続して実施していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究成果を学会の年次大会で発表することによって,開発する教育プログラムの向上につなげることを目的に日本教育工学会第29回大会(秋田大学,秋田県)に参加するための交通宿泊費として10万円の使用を計画している。 次に,教育プログラムパッケージの作成および継続実施する学習者の認識に関する調査に関する印刷費および資料費として8万円を計画している。この計画には,データ分析やデータ収集に関する謝金として2万円を内包する。 最後に,研究実行に伴う文具およびコピーの費用として2万円を計画している。
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