2013 Fiscal Year Research-status Report
フレーミング効果の養育・発達過程モデルの検証:子どもへの言葉がけに注目して
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24730560
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Research Institution | Niigata Chuoh Junior College |
Principal Investigator |
佐々木 宏之 新潟中央短期大学, その他部局等, 准教授 (80389949)
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Keywords | 養育スタイル / 制御適合 / 制御焦点 / 説得的メッセージ / フレーミング効果 / 動機づけ |
Research Abstract |
①平成24年度の研究成果を基に論文を執筆し、国際専門誌「Journal of Applied Social Psychology」に投稿した。論文では、子どもへの言葉がけにおける親のフレーミング方略が、言葉がけをするときの状況に依存すること、さらに親の制御焦点傾向と養育スタイルが影響することを報告した。現在掲載へ向けた校正作業を行っている。加えてもう一報の論文を執筆し、国際専門誌「Journal of Psychology」への投稿を準備している。この論文では、子どもへの言葉がけにおけるフレーミング方略が、養育経験を重ねることによって変化すること、そしてその変化は親と保育者で対照的であることを報告する。これらの研究知見は、Higginsの自己制御理論に発達の観点を取り入れた報告として、基礎的、応用的意義を提供するものである。また、以上の内容については、第28回国際応用心理学会の口頭発表に採択されている。 ②学生を対象とした調査を行い、幼児期に受けた養育が学生の意思決定フレーミング効果に影響するか検討した。しかしながら、今回採用した意思決定課題は明確なフレーミング効果を示さなかったため、養育スタイルがmoderatorとして機能せず、当初予想した結果が得られなかった。今後、意思決定課題を変更して再検討する必要がある。 ③幼児期の養育の認識が親子で一致するか、そして親子それぞれが回想した幼児期の養育のスタイルが学生の現在の制御焦点傾向に影響を及ぼしているのか検討した。この成果については、日本心理学会第77回大会にて発表を行い、現在国内専門誌「心理学研究」への投稿へ向けて準備している。 ④平成25年度の研究計画では幼児を対象とした実験を行うことを予定していたが、②において意思決定課題の選択には慎重な検討が必要であることが確認されたため、共同研究者と共に課題の再検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実績の概要に記述した通り、平成25年度には幼児を対象とした実験を実施する予定であったが、実験課題の見直しの必要に迫られたため実施できずにいる。他の計画(保護者を対象とした調査と学生を対象とした調査)については、論文掲載が決まった(条件付き採用)ものが一報、執筆が最終段階にあるものが二報あり、順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に実施の予定であった幼児を対象とした実験を行う。昨年度に検討した意思決定課題を基に実験プログラムを作成し、学生アルバイトの協力を得て実験を実施する。 これと並行して、平成26年度の当初の計画の通り、国際応用心理学会での発表、保育現場へのフィードバック、保育者の言葉がけと幼児の反応に関する観察調査を実施する。国際応用心理学会では口頭発表として採択されており、現在発表へ向け準備をしている。保育現場へのフィードバックについては、保育士養成セミナーでの研究報告を予定している。観察調査については、共同研究者の栗原ひとみ植草学園大学准教授との打ち合わせをふまえ、新潟と千葉の保育施設で調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「研究実績の概要」に記述した通り、平成25年度に実施が予定されていた幼児を対象とした実験が実施されず、経費に計上していた謝金が支払われなかったため。 「今後の研究の推進方策」に記述した通り、平成25年度に実施の予定であった幼児を対象とした実験を行い、当初計上した通り謝金として実験協力者に支払う。
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