2014 Fiscal Year Annual Research Report
フレーミング効果の養育・発達過程モデルの検証:子どもへの言葉がけに注目して
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24730560
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Research Institution | Niigata Chuoh Junior College |
Principal Investigator |
佐々木 宏之 新潟中央短期大学, その他部局等, 准教授 (80389949)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 養育スタイル / 制御焦点 / 制御適合 / 説得的メッセージ / フレーミング効果 / 動機づけ |
Outline of Annual Research Achievements |
メッセージの意味内容が等しいにも関わらず、言語表現が変わるだけでメッセージに対する動機づけが変化するという現象はフレーミング効果と呼ばれている。本研究は、養育者の言葉がけと子どもの動機づけの間に生じるフレーミング効果に着目し、養育スタイル、言葉がけ、子どもの動機づけの関係の解明から、フレーミング効果の養育・発達過程モデルの構築を目指した。モデル構築においては、動機づけに関する概念である「制御適合」を導入した。 平成24~25年度は、幼児の保護者と学生を対象とした調査を実施した。保護者に対する調査から、養育スタイルが言葉がけのフレーミング方略に影響すること、そしてそれが「制御適合」の関係にあることを確かめた。学生に対する調査では、幼少期の親の養育スタイルが学生の現在の動機づけに影響すること、そしてその影響の仕方に「制御適合」の関係を見出した。動機づけを説明する理論として知られる制御焦点理論では、幼少期の養育者との相互作用が動機づけの発達の基盤となるとしているが、本研究の結果はその仮説を裏付ける証拠となった。 最終年度は、研究成果を教育・保育の現場にフィードバックする期間と位置づけ、第28回国際応用心理学会と全国保育士養成協議会第53回研究大会において研究発表を行った。研究成果の一部は既に国際専門誌に掲載されている。また、以上の研究成果は質問紙調査により得られたものであり、これが言葉がけの実際を反映していると結論するには、現実場面を捉えたアプローチによる補足的な研究が必要である。そこで、保育士の実際の言葉がけにフレーミングや制御適合が見られるか、その言葉がけや実験的に操作された言葉がけに子どもがどう反応するかを検討する観察調査・実験に着手した。年度内の成果発表には至らなかったが、現在遂行中の質的・量的分析はフレーミング効果の養育・発達過程モデルを強化・補完する可能性を示唆している。
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