2014 Fiscal Year Annual Research Report
思春期の身体発育を契機とした不適応行動の発生を助長/抑制する要因の解明
Project/Area Number |
24730562
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
上長 然 佐賀大学, 文化教育学部, 講師 (50552965)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 思春期 / 身体発育 / 防御要因 / 不適応行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
思春期は急激な身体変化を伴う時期であり,身体発育や性的成熟は,本人の意思や希望とは無関係に生じる生物学的成熟であり,そのため,少なからず不安や心理的動揺をもたらすと考えられてきた。本研究の目的は,青年の個人要因と社会文化的要因を踏まえながら,思春期の身体発育を契機として不適応行動を発生させるリスクファクターの検討と,不適応行動の予防・抑制に関する要因を検討することであった。 青年個人のリスクファクターおよび防御要因の検討から示されたこととして,女子における早熟者および晩熟者のうち,レジリエンスの低い者は,自己の身体に対する違和感が高いことが示され,標準者はレジリエンスの高さに関わらず低い水準であった。一方,レジリエンスの高い者は早熟・晩熟であっても身体的違和感が低かったことから,多数派から逸脱する早熟・晩熟であることにレジリエンスの低さという個人要因が重なることで不適応行動が助長される可能性が示唆された。 また,社会文化的要因による検討では,悩みに対する相談行動を,自ら援助を求める援助要請と,声をかけられれば相談する被援助提案の観点からとらえ,これらの相談行動が学校適応に関連するかを検討した。その結果,女子では教師に対して「自分からも声をかけられても相談しない」生徒の学校適応が悪く,いずれかの相談行動を行う生徒の学校適応は良好であった。一方,男子では,自分から相談するかどうかではなく,声をかけられた時に相談する生徒の学校適応が良好であることが示された。
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