2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730564
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
神長 伸幸 独立行政法人理化学研究所, 言語発達研究チーム, 研究員 (90435652)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 文理解 / 言語発達 / 眼球運動 / 瞳孔径 |
Research Abstract |
本年度は、幼児と成人における文理解処理の逐次性について重点的に研究を行った。聴覚提示された文を理解中の眼球運動を測定する実験を実施した。その結果、成人は視覚文脈に合わせた形で形容詞と名詞句の組み合わせから支持される対象を素早く注視することが確認された。一方、幼児を対象とした実験の結果、少なくとも6歳頃までに、成人と同様に視覚文脈に合わせた形で文を逐次的に理解できることが示された。ただし、眼球運動を指標とした場合、幼児の眼球運動の統制能力が未熟なため、反応に遅れとばらつきが生じて、統計解析による有意性を検出しにくいという問題も明らかになった。本研究では、これを補う指標として瞳孔径の変化量に注目した。その結果として、上記の眼球運動測定実験で、オブジェクトへの注視確率を指標とした場合では統計的に有意な効果を検出できなかった場合にも、瞳孔径を指標とすると成人と同様に言語処理を逐次的に行っていることを示唆する結果が安定的に検出できた。日本認知科学会にてこの成果を発表し、国内研究者から有用な助言を得た。また、論文も執筆中であり、海外および国内の学術雑誌への投稿を予定している。 上記に加えて、近年、心理言語学領域において実験データの統計解析手法が劇的に変化しており、現在執筆中の論文でも新しい手法である線形混合モデルで解析した結果をまとめている。この解析手法について国内の研究者との情報交換を目的としたワークショップを実施し、投稿論文の査読に耐える解析手法について意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幼児と成人を比較した実験の結果は、おおむね当初の仮説で説明できるものであった。また、幼児の文理解過程を検証する新たな指標の導入や、新しい統計解析手法の導入もスムーズに行えたので、今後の研究も当初の計画通りに進められることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
追加実験の実施に加えて、文理解中の再解釈処理についての実験を新たに実施予定である。また、これまでに得られた知見を国内・海外学会で発表するとともに、学術雑誌への論文投稿を順次進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、2013年3月開催の国際学会において成果発表を行うことを目指していたが、実験の結果を考慮して、2013年8月に開催される別の国際学会で成果発表する方が研究に対するより的確なフィードバックを得られると判断し、前者の国際学会への参加を見合わせた。そのため旅費として確保した研究費を繰り越すこととしたが、これは8月に開催される学会での成果発表の際に旅費として使用する予定である。また今後、幼児と成人を対象とした眼球運動測定実験を行う予定であり、その際、実験補助アルバイト担当者への謝礼および研究参加者への謝礼を支払う。また、国内・海外学会での成果発表の際に旅費として用いる。また、投稿論文作成時に、英文校閲費用として用いることを予定している。
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Research Products
(2 results)