2013 Fiscal Year Annual Research Report
精神病発症リスク状態における認知的洞察の検討:認知機能障害との関連を踏まえて
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24730567
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内田 知宏 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (30626875)
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Keywords | 統合失調症 / ARMS / 認知的洞察 / 認知機能 |
Research Abstract |
本研究は、統合失調症をはじめとした精神病の早期発見、早期介入という観点から、その発症危険群であるアットリスク精神状態(At Risk Mental State: ARMS)を対象とした研究を行った。統合失調症および精神病に対する認知行動療法では、仮説検証や、発見を導くことを通じて、患者に自身の思考を再考させていくことを手助けすることに焦点を当てる。その中で、「偏った考え方や誤った解釈を評価し、修正する能力」である認知的洞察(Cognitive insight)が、妄想などの陽性症状の形成と維持に関連する重要な要因であると考えられている(Beck et al., 2004)。この認知的洞察を測定するためのツールとして、申請者らは、海外で用いられているベック認知的洞察尺度(The Beck Cognitive Insight Scale: BCIS)を翻訳し、BCISが十分な信頼性・妥当性をもつ尺度であることを報告した(Uchida et al., 2009)。認知的洞察は、統合失調症患者において低下していることが示されている(Beck et al., 2004)が、本研究では、ARMSにおいても認知的洞察が低下していることを明らかにした(Uchida et al., in press)。さらに、こうしたものの見方や考え方の硬さは、ARMSにおける妄想様の体験といった微弱な精神病性の症状とも関連していることを明らかにした。
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