2013 Fiscal Year Research-status Report
今日的な不登校児童生徒への心理臨床的援助に関する研究
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24730571
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
佐藤 淳一 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (30508792)
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Keywords | 不登校 / 中学生 / 心理面接過程 / 質的なメタ分析 |
Research Abstract |
今日的な不登校児童生徒への心理臨床的援助を実証的に検討するため,不登校の事例論文を対象とする質的なメタ分析を行うことを目的とした。まず,学術雑誌「心理臨床学研究」に過去30年掲載された事例論文の中から,不登校を主訴とするもの,中学生であるもの,病理の水準が不適応圏から神経症水準であるもの,計10事例を抽出した。そして,不登校を主訴とする中学生クライエントの面接経過に生じる「重要な出来事」を同定し,コード化およびカテゴリー化を行い,初期,中期,後期の面接段階別によってどのようなプロセスが生じているか,不登校臨床を行っている臨床心理士2名と修士課程院生1名によって合議制の検討を行った。その結果,1)「イメージ表現,遊び」のカテゴリーが主たる重要な出来事であり,「自己理解」や「感情過程」といったカテゴリーは少なかったこと,2)「イメージ表現」,「イメージ媒体の語り」,「遊び」を通して心理的テーマが展開し情緒が表出されてプロセスが進むこと,またそれは面接の段階によって大きな違いは見られないこと,3)Th-Cl関係の出来事では性差が見られ,女子の場合は非言語的表現とともに言語表現を伴っているが,男子の場合は非言語的表現のみであることが明らかになった。 こうした研究作業とともに,子どもの不登校をきっかけに心理相談機関に来談した母親の終結事例を報告し,不登校生徒への心理臨床的援助を通して,母親の「子ども」を巡る罪悪感について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度に行ったコード化やカテゴリー化といった分析の妥当性を高めるため,平成25年度においては,監査者として新たに不登校臨床を行っている臨床心理士1名に協力を要請し,昨年度の分析結果を臨床心理士2名と修士課程院生1名によってあらためて再検討したことによって,当初の予定よりも時間を要したことが理由としてあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の課題を解決するために,当初の研究計画の一部を修正しながら,限られた研究期間内に有益な成果を生み出せるよう進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度に行ったコード化やカテゴリー化といった分析の妥当性を高めるため,平成25年度においては,監査者として新たに不登校臨床を行っている臨床心理士1名に協力を要請し,昨年度の分析結果を臨床心理士2名と修士課程院生1名によってあらためて再検討したために,当初の計画よりも研究作業がやや遅れていること,またその再検討の結果を新たに海外で学会発表する機会が得られたことが,次年度の使用額が生じた理由である。 上記で述べた研究結果を海外で学会発表するための旅費,宿泊費といった経費に充てることとする。
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