2012 Fiscal Year Research-status Report
交際相手への暴力の新しい形態:情報通信技術を用いた暴力の実態とその影響
Project/Area Number |
24730572
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
竹澤 みどり 富山大学, 学内共同利用施設等, 講師 (90400655)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 交際相手からの暴力 / 情報通信技術 / インターネット |
Research Abstract |
近年インターネットや携帯電話をはじめとする情報通信技術は若者の間に広く浸透し、多くの人が他者とのコミュニケーション手段として活用している。それに伴い、交際相手による情報通信技術を用いた暴力が増えていることが指摘されているが、未だ研究が少ない。そこで、本研究では日本におけるその特徴を把握することを目的とした。15~29歳の男女を対象にインターネット調査を実施し、473名を分析対象とした。先行研究で指摘されている6つの行為(「言動監視」「執拗なメッセージ送信」「脅迫・侮辱」「なりすまし」「私的情報等による攻撃」「私的情報の掲載」)について恋人または元恋人からされた経験頻度について回答を求めた。さらに、各行為について、具体的な方法、その影響(気持ち・行動)、対処、そして6つの行為以外で情報通信技術を用いて恋人または元交際相手からされて嫌だった・怖かった・傷ついた行為に関してそれぞれ自由記述で回答を求めた。その結果、「言動監視」「執拗なメッセージ送信」の経験頻度が多く、10~30%の人が経験していた。また、恋人からのみではなく既に別れてしまっている元恋人からされる場合も多いことが明らかとなった。次に、自由記述によって得られた回答をKJ法によってカテゴリー化した。その結果、気持ちへの影響としては「嫌・不快」「気持ち悪い」「怖い」が多く、行動への影響は「行動が制限される」「関係回避」の回答が多い一方で、行為によっては「影響がない」という回答も多いこと、対処としては「別れる」「話し合い」という対処がある一方で、何も対処を行わない場合も多いことが明らかとなった。さらに、6つの行為以外の行為については「自傷による脅迫」や「ネット上でのつきまとい行為」等が抽出された。本調査より、日本における情報通信技術を用いた交際相手からの暴力の具体的な方法、それによる影響、対処の仕方が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の調査によって、日本における情報通信技術を用いた交際相手(元交際相手も含む)からの暴力の具体的特徴を把握するという目的を達成することができたこと。さらに自由記述調査によって次年度に作成する行為に関する項目案が得られたことから、当初の計画通り順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は当初の計画通りに進んでいるため、今後も研究計画に沿って進めていく。今後は、今年度の実態調査を基にさらに情報通信技術を用いた交際相手からの暴力の影響およびそれを規定する要因、さらにオフラインでの交際相手からの暴力との関連について検討していく。 情報通信技術を用いた暴力をテーマとしているため調査対象者となりうる人がインターネットを活用している人の中に多く存在すると考えられる。さらに、研究テーマの性質上、交際経験者をスクリーニングしなければならないため、条件に合致した人だけが回答するインターネット調査の方がより多くのデータを収集し、すべてのデータを有効に活用することができることから、今後もインターネット調査を活用していく。 また、次年度以降にそれまでに得られた知見を学会、論文等で順次発表していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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