2014 Fiscal Year Annual Research Report
強迫性障害を対象とした症状ディメンションに基づいた治療戦略
Project/Area Number |
24730573
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
井上 淳 浜松医科大学, 医学部附属病院, 臨床心理士 (90535577)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 強迫性障害 / 症状ディメンション / 治療戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、強迫性障害の症状ディメンションに対応した心理療法の治療戦略を確立することである。 H26年度は、H24年度、H25年度に後方視的に探索した治療戦略に基づき、強迫性障害の患者に対して心理療法を施行した。当院に入院となった23例を対象とし、治療前後にディメンション別強迫症状重症度尺度(DY-BOCS)、強迫的信念質問紙(OBQ)、一般性セルフ・エフィカシー尺度(GSES)を施行し、治療効果の判定を行った。23症例のうち、4症例は心理療法に導入する前に治療中断となった。心理療法を施行した19例のうち、2例がERPを中断、1例が森田療法を中断した。心理療法を完遂した16例のうち9例がERPを施行し(7例が汚染、2例がその他)、5例が森田療法(傷害・攻撃性が2例、性的・宗教的が1例、対称性が1例、その他が1例)、2例がERPを施行した後に森田療法を施行した(汚染が1例、傷害・攻撃性が1例)。ERPを施行した汚染のディメンションの1症例はDY-BOCSの評価において、症状の重症度が不変であったが、その他の15症例では、DY-BOCSによる評価で改善が得られ、高い改善率が示された。強迫的信念と自己効力感については、改善した群と不変の群に二分された。 また森田療法を施行した2症例に対し、治療期間の前後に強迫症状賦活課題を用いたfMRIを施行した。その結果、治療後には自己認知に関与すると考えられているデフォルトモードネットワークの正常化が見られ、fMRIにおいても治療効果が確認された。 以上のことから、後方視的に探索された治療戦略が有効である可能性が示された。
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