2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730580
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 淳 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (00506305)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 社交不安障害 / 加害感 / 妄想 / 関係付け的思考 / 認知行動療法 |
Research Abstract |
加害感とは「他者に不快感を与えている」と過度に悩む症状である.悩みが妄想的になり訂正ができなくなると社会的機能が阻害されるが,その妄想性が生じる仕組みについては明らかになっていない.そのため,治療法につなげるための基礎研究がまず必要となる. 平成24年度は,加害感の実態と妄想化のプロセスを検討した.Social Anxiety-Discomfort to Others Scale日本語版(SA-DOS; Sasaki,2009)を大学生200名程度に実施し,多次元アセスメント法(e.g., Garety & Hemsley, 1987)を用いて,加害感の頻度・確信度・苦痛度についての定量的な基礎データを得た.次いで,先行研究より,妄想化に影響を与えていると考えられる心理的傾向の尺度を3つ実施して関連を検討した.あわせて,数名に対して加害感が妄想的になるプロセスについて面接調査を実施した. 本研究の結果,健常大学生においても高い確信度をもつ加害感が体験されていることが確認された.そして,加害感の体験頻度と確信度との間に比較的強い有意な正の相関がみられており,加害感のエピソードと妄想性との親和性が改めてうかがえた.現在,データ分析の途上ではあるが,加害感の苦痛度と確信度の成因に着目した分析を行なっている.本研究は,多次元アセスメント法を対人恐怖症研究に導入し,症状の頻度だけでなく症状の体験され方の成因を実証的に明らかにしようとしている点が意義深いと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られた定量的データを詳細に分析している途上ではあるが,データ収集,専門家からの助言や関連文献のデータベース化をするための準備は終了しているため,おおむね順調に進展していると考えている.今後は本研究の成果を,H25年度の国際学会・国内学会・関連研究会にて報告する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は3つの研究から構成されている.H24年度で行なった研究1では,データ収集が順調に行われているため,次年度以降で国際学会・国内学会・研究会などでその知見について発表するとともに,専門家からのアドバイスを受けつつ,学術雑誌に投稿する予定である.次年度以降では調査会社を利用して研究2,3と行ない,研究1と同様に,得られた知見を公表できるように努めたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は家庭の都合によって,予定していた出張や作業を行なうことが難しい場合があり,次年度に研究費を繰り越す運びとなった.次年度は,調査会社を使った調査を行なうことを当初から予定しており,データ収集については特に問題がなく行える予定である.また,H24年度に控えた作業についても,順次行なっていく予定である.
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Research Products
(16 results)