2012 Fiscal Year Research-status Report
小児がん患者家族への心理的支援方法の実証的検討ー親子介入プログラムの開発
Project/Area Number |
24730583
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
尾形 明子 広島大学, 教育学研究科(研究院), 講師 (70452919)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心理的介入 / 小児がん |
Research Abstract |
小児がんは、治癒率が向上しているものの、その治療は長期にわたり、患者、家族の心理社会的苦痛は大きく、心理的支援体制の整備が求められている。欧米では、小児がん患者の主介護者の心理的苦痛の緩和に問題解決療法が有効であることが示されており、我が国でも問題解決療法をもとに主介護者の心理的苦痛の緩和を目的としたプログラムの開発がなされてきた。そこで、本研究では、まず、問題解決療法プログラムの効果を実証的に検討すること、そして、このプログラムを基盤として、小児がん患者本人に対する問題解決療法プログラムを開発することを目的としている。今年度は、入院中の小児がん患者の母親を対象にした実施したプログラムについて結果をまとめた。現在まで、適格基準を満たした小児がん患者の主介護者13名(女性12名、34.75±6.79歳、診断後経過期間5.36±7.94ヶ月、患児の平均年齢7.19±4.29歳)に、本プログラムの情報を提供し、リクルートを行ってきた。その結果、受諾率は93%(1名が拒否)、完遂率は92%(1名が転院で中断)であった。また、介入前後で気分状態の改善および精神面のQOLについて有意な改善がみられた。さらに、プログラムの満足度や有用性についても高く評価されていた。以上のことから、小児がん患者の主介護者を対象とした問題解決療法プログラムは、実施可能性、有用性ともに高く、主介護者の心理的苦痛の緩和に効果的であると考えられた。今後、患者本人および親子を対象としたプログラムの開発をすすめるにあたって、その基盤となるプログラムの効果を検討できた点で意義があるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象者数を十分確保できていない点では遅れている。しかしながら、量的及び質的に介入内容を検討することができるデータが得られており、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、小児がん患者の親を対象としたプログラムの効果について国内外の学会や学術誌で報告すると同時に、患者対象のプログラムの作成に取り掛かることとする。今年度用いた問題解決療法プログラムおよび子どもを対象とした心理的介入プログラムを参考に、小児がん患者本人の心理的負担の軽減に有用な形のプログラムの内容を検討する。具体的には、介入の構成要素や心理教育の内容、プログラムの回数などを検討する。そして、ワークシートといった介入ツールの開発を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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